月刊「Bedroom Techno」6月号

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「Bedroom techno」とは?

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「bedroom techno」の魅力とは?

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「June bright」 ep1

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「Bedroom Techno」とは?

ベッドルームテクノ。その言葉を作ってしまったのは今やあらゆるジャンルの音楽家において敬愛される「Aphex Twin」こと「Richard David James」の一枚のアルバムからだった。

[Selected Ambient Works 85-92]

1992年の当時ベルギーを拠点にデトロイトテクノやシカゴハウスの風を受けて人気が上がっていたR&S Records。そのサブレーベルであり

主にambientを中心にreleaseしていた「Apollo Records」からこのアルバムがリリースされることで更にR&S Records自体を盛り上げる結果となったと同時にRichard自身の名前も広まることとなる一枚だ。
さらに、同じ年にR&Sからリリースされた『Xylem Tube EP』も彼の名前と彼の楽曲を各国のフロアで耳にするようになる後押しになった。

そして同年。warp recordsから80’sのアンチ・レイブ・ムーブメントから誕生した、チルアウトが原点となり現在までのテクノ、エレクトロニカ、IDMを理解するうえで絶対に避けて通ることの出来ない記念碑的なコンピレーション・アルバム「Artificial Intelligence」がリリースされた。

このコンピレーションにはAphex Twinはもちろん、The Black Dog、Richie Hawtin、Autechreなど今や現代のインテリジェンス・ミュージックと呼ばれるジャンルを引っ張ってきているアーティストが多く参加している。
R&Sと同様にwarp recordsの名声を非常に高めると同時に新しいジャンルである「IDM」が生まれ、warpは徐々にその地位を築いていったのだ。

 これらの1992年にリリースされたアルバムから全世界にベットルーム・テクノという概念を伝えたといっても過言ではないだろう。そしてエイフェックス・ツインはアンビエント・テクノからフロア・ライクなテクノまでを作ることができるニュー・ジェネレーションのヒーローとなっていった。ベッドルームで作られた音が、世界中のフロアでプレイされ、そしてベッドルームでも聴かれるようになっていったのだ。

・・・・・・

 ここまではベッドルームテクノが世に広まる発端を担った「Richard D James」の「Selected Ambient Works 85-92」という一枚の偉大さについて書いてきたがそろそろ「bedroom techno」そのものの特徴を挙げてみよう。 色々と細かい判断基準はあるようなのだが、まずは最初に挙げたaphex twin以外のアーティストではどんな作品がbedroomとして含まれるのか見てみよう

これらの曲に共通する点で技術的なところから見ていくと、どうやら一般的なtechnoやhouseのBPMである140bpmよりも遅めで90~120bpm程度であり、最近流行の兆しがみえるdeep houseというジャンルに近いとも言えるだろう。
そして全体にReverbやDelay,Echoなどの空間系エフェクターを多用している。楽曲の展開が少ないのは、やはりambient techno,dub technoといった4つ打ち系チルアウト・ミュージックに近づけているからだろうか。loneやgold pandaなどのアーティストも含まれることを見るとchillwaveやelectronica的な要素も必要なのだろうか?
しかし、いずれかの作品も創作の原動力となっているのはハード・トランス、ハード・テクノ、または渋谷系POPSなどの一般に浸透してきた「EDM」と呼ばれるレイブシーンに対するアンチテーゼ的なものを非常に感じる。

さらに、重ねて特徴的なのが全体を包む箱庭感だろう。lone自身のinterviewでもあったが彼の作品からは一貫して何らかの逃避を求め、ようやく安息の地にたどり着いた。という雰囲気があるといえる。*1

その理想の箱庭、つまりは幻想世界の空間をbedroomに比喩しているのかもしれない。


「bedroom techno」の魅力とは?

そもそもbedroom technoないしはbedroom musicという言葉の意味が昔と今ではガラリと変わっている。

前述したように、1992年にSelected Ambient Works 85-92をリリースした当時は、ロックバンドのように音楽スタジオでドラムからボーカルまで録音していく、という方法ではなく、自室に作ったDIYスタジオの機材に囲まれてマルチトラックレコーダーにマスター音源を録音する。というスタイルそのものを指していた。そのスタイルから、録音の技術や環境がよくないがために「LO-FIな楽曲」が多かったという事実もある。

今のbedroom technoないしはbedroom musicという言葉の意味は変化しており、
そういった曲を好んでは聞かない層のリスナーの大雑把な認識はLo-Fiなダウンテンポの曲という意味らしい。
アンチ・レイブの精神も妥協的になり、BPMの高い激しい楽曲ではないが、なんとなく暗い雰囲気漂ってるけどもの凄く悲壮感が漂ってるわけでもないよね。という意味でつかわれているのではないかと予想している。dream popというジャンルも一緒に掲げられていることもしばしばあり、私はそういうレビューや記事を見るたびにうんざりしていた。私が求めている安息の地はもっとdeepで眩暈がするようなキラキラした景色はいらない。

しかしながら、今では殆どのアーティストがDTMと呼ばれるデスクトップミュージックという手法に移り、昔のようにわざわざ大きな48chのアナログミキサー、大きなリズムマシン、シンセサイザーとラックエフェクターのビルに囲まれて寝なくても、林檎のマークがついたlaptopとmidi keyboardさえあればどんなジャンルの曲でも作れるのだ。サンプル音源もわざわざ古びたDubplateからサンプリングせずともデジタル配信のもので最初から最後までnoise lessだ。今ではわざわざノイズの音源を一トラック埋めてまで入れている……。これではスタイルなんて何の価値にもなるかもわからない。

そんな素晴らしいHigh FidelityでHigh Qualityな時代に何故人々はわざわざアナログのノイズの音源をデジタル配信でDLしてまで楽曲にとりいれようとしたり、古いドラムマシンやベースマシンを使い続けてまでLo-Fiな楽曲を愛しているのだろうか。

それは私にも未だにわからない。
EDMの耳が痛くなるミキシングにゲッソリしてしまったのかもしれないし、毎日が同じ献立だと舌が飽きるのと同じようにsoundcloudを開いたときにものすごいスピードでスワイプされていく新しい音楽達に耳が飽きてきているのかもしれないし、そういう流れを追うのに疲れてしまったのかもしれない。
もしかするとそういう人たちが、ゆったりとしたBPMに6分や11分の間、4つ打ちのキックが流れている間だけ休憩したいと思うのかも。

「bedroom techno」という、このいつまでもぬるめのお湯に浸かっているかのような無理のない温度の音楽はminimal technoまでも洗練されておらず、ambientのように乗れないわけでもなく、chill waveのようにキラキラしておらず、electronicaのように敷居が高くない。

耳を傾ける分にも他人の夢を覗き見ているようなちょっとしたワクワク感をもちながら。

制作者側になるにも自分の世界をほんの少し見せる感覚で、
technoだけでなくhouseやhiphopなどの電子音楽だけではなくjazzやrockなど様々なジャンルの処から「ただ単純に心地よいメロディとリズムを追及している」という部分だけにこだわるシンプルな答えがあるからこそ入店しやすいのだ。

たぶん。

Writer:Hyuuga_D


June bright

731n1illustration:zinbei     (HP)

「また、雨ね」

滞在三日目の午後六時四十五分。家具も何もない小さなワンルームには二人がいる。

前の街のドレスメイカーから買った新調したてで青磁色とフリルの白が魅力的な細身のドレスがとても似合っており、外に出て新品のドレスを見せびらかすことができなくて残念。という含みもこめて誰に教えるわけでもなく部屋に一つだけある小さな窓ガラスに対面し、彼女はぽつりと呟いた。彼女の名はジュエルという。視覚と聴覚が弱く、三角の形をしているので猫耳型と本人は呼んでいる集音機を装着しており、目にはゴーグルのように分厚い眼鏡で生活に支障がないようにしている。左手と左足も義肢であり、とある事故で失ったと本人は言っていた。アライメント(属性)は一応人間とはなってはいるが半身が機械でできているので「ほぼ」機械人間だと言っていいだろう。彼女にそう呼ぶと鉄でできたほうの拳で頭を殴られるから口に出したりはしないが。

「…………。」

お気に入りのふわふわで耳当てがついている帽子を深くかぶり、コートを下に敷いて床に寝ているワンルームのもう一人の住民の名前はミアという。帽子のおかげで表情がよく見えないのだが、外が雨なので暇を持て余しすぎて寝るという判断に至った、と云った処だろう。ジュエルの呼びかけにも答えない。

彼女、ミアも女性なのだがアライメントは獣人族。その中でも大きな耳が特徴的な一族だった。ウサギとイヌの特徴をもっている。つまりは、とても耳がよく鼻も視力も人間よりも優れていた。しかし普段から心優しい性格なこととあまり肉食ではないこともあり武術についてはカラッキシだめなことが悩み。

雨が小窓を打ちつけてリズムを生み出し、小さなワンルームの空調機がロングトーンのベースを鳴らしている。そこに割って入るように扉をノックする乾いた音が響いて入口の薄い扉が開いた。

「お待たせいたしました。それではこれから入国審査に移りますのでこちらにお越しください」

二人は待ちわびたとばかりに元々すくない荷物をまとめて彼の後について部屋を出た。
残された空間には二人の存在だけが更新されるまで残っていた。

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