月刊Bedroom techno12月号

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ep7…December steps
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ep7…December steps

ここはどこだろう。
ミアは辺りを見渡してみるが、真っ暗で何の情報もなく、外なのか内なのか、昼なのか夜なのか、死んでいるのか生きているのかすら分からなかった。しかし、閉ざされた五感の中で一つだけ、実際には何も見えないのだが一度だけ来たことがあるような感覚と懐かしさと優しさの様なものに包まれていることを感じていた。

『なにしてるのよ!バカ!』
ここで不意に直前の記憶が蘇る。
襲いかかってくる長い舌からジュエルを助けようとして飛び出したために捕まってしまったのだ。
そうしてようやく自分が、大きなカエルの大きな胃の中に飲み込まれてしまったことに気がついた。
「ジュエルはきっと無事だよね……」

改めて自分の咄嗟の行動を反省してミアは冷静になったのか、自分の身体に怪我が無いか確認する為に手を動かそうと試みたのだが、そこで気づいた。まるで手足を動かすという概念を失ってしまったかのようなのだ。重力に逆らって関節を動かす感覚、細かな体毛に風が触れる感覚すらなくなっていて、勿論その先の手触りも失っていた事にショックを受ける。
そういえば、辺りを見渡す時も目を開けて首を動かすといった感覚が無かった、ということにも気づき始め、そこでようやく自分が死んでいるのでは無いかという疑惑がジワリとにじり寄って来たのだが、不思議とそれに対する恐怖は襲いかかってこない。まるで恐怖という大きな怪物が敵意という牙を抜かれてしまい、腹を見せてこちらに服従している姿で居るようだ。更にはその怪物のフワフワの腹毛に頬を這わせたような愛念すら感じた。
いつのまにかミアはこの永遠の微睡みの様な心地良い感覚を永久に浸っていたいとさえ、ぼんやりとした意識と温度の中で望み、それを願っていた。

「……うわ! なに⁉︎ 」
しかし、その願いも長くは続かず突如として雷の様なバリバリという大きな音が耳から入り、身体の中で反響し全身を揺らして微睡みの意識から目が覚めた。その瞬間に照明のスイッチを入れたかの様にパッと明るくなり、闇に潜んでいた怪物は獲物を仕留めきれなかったというように恨めしやと退散し、ホワイトアウトした世界へと変貌したのだ。
ミアは一体何が起こったのか分からずに混乱していたのだが、だんだんと近づいてくる声に気がつき、それに意識を向けた。

「……ァ」
「……ィァ」
「……ミア」
「……ミア!」
それを聞いたミアは必死に自分の名前を呼ぶ声に返事をしようとしているのだが、声を出しているつもりでも膜に包まれているかの様に全く空気が揺れてくれない。それでもミアは、必死で、強く、なんとかして気づいてもらおうと声にならない声を出し続けた。
「……。」
「……ゥ」
「……ゥェル」
「……ジュエル!」

———–
「ジュエル!」
悲鳴にも似た自分の声でミアが目を覚ましたのは安そうな音を立てて軋むベットの上でだった。
「なあに?」
そう応えた本人は近くの椅子に座り、読んでいた書物から目を離しミアの様子を仰ぎ見た。大粒の涙を両の目に浮かべていて、まるで悪い夢をみてしまった子供のようだ。と、思わずくすりと笑ってしまった。
ミアは久しぶりに暗い部屋から出てきた時のように窓からの採光で目を細めるも、涙か粘液の所為なのかよく見えないようだ。しかしながらジュエルの声がハッキリと自身の長い耳に入ってきたのが嬉しくてミアは再び感極まり涙が溢れた。
ジュエルは読んでいた書物を閉じ、ベッドへ近寄って端に座り、安堵の表情で溢れ零れん涙を親指の腹を使って優しく拭ってあげる。
「よかった!生きてたんだね!」
「それはこっちの台詞よ……。ちょっと!抱きつかないで!この服はお気に入りなんだから!」
涙とヨダレに塗れたミアはついに声を上げて泣き出し、そんなミアに抱きつかれてしまったジュエルまでも泣き出しそうな、しかし少し頬が緩んでいる複雑な表情でされるがままになってしまうのだった。

その後、ミアがようやく落ち着いたのを見計らってジュエルはあの食事会での出来事を話し始めた。

ジュエルがカエルの王様の腹を開いた後、遠巻きに見ていた従事者たちから沸き起こる歓声、自由を手にした感激の嗚咽に包まれて、ジュエルは直ぐにこの国の英雄になってしまったらしい、と察した。案の定に人々はパレードをしようだとか銅像の制作を始めようだとか、今までの暗い過去を振り去るように明るい笑顔で口々に言い合ったり手を取り踊ったりしていた。
しかし、それよりも粘液塗れのミアが出てきたが動かない状態だった事と自分もすっかり疲れてしまっていたので、とにかく静かな所で休みたかった。
それを察したのかジュエルに短剣を渡してきたウェイターが近寄り、細い身体とは裏腹に軽々とミアを担ぎ上げたかと思うとついて来るように目配せをした。
しばらく細い道を真っ直ぐに行ったり曲がったりする洞窟のような通路を抜けて、月明かりの光に照らされて草木が雨粒で踊る音がそこらから聴こえる森の中に突然出てきたのだった。
「この場合、地下帝国だから外に出たとは言わないのかな?」
ウェイターは何も言わずにしっかりとした足取りで歩みを進め、辿り着いた一軒の小さな小屋の戸を開けた。そして、カーテンもつけていない窓の側にある硬そうなベットの上にゆっくりとミアを寝かせた後にジュエルの方を向き深く頭を下げ、何も言わずに出ていってしまった。しかし、その時の表情は申し訳なさそうに眉を伏せているのだが両の眼はしっかりと明るい未来への希望に充ちていた様に見えた。
その場に残されてしまったジュエルはしばらくの間傍らで月のお姫様のように照らされるミアの安らかな寝顔を見ていたが、それに誘われるようにして自分も段々と瞼を閉じていった。

ジュエルがいつの間にか眠ってしまっていたと思った時には窓から太陽の光が顔を覗かせていて、ベットの近くには預けられていたはずの荷物がひっそりと置かれていた。先程のウェイターが戻って来て置いていってくれたのだろうか。

2016-12-31-13-11-12

「ミア?そろそろ起きてよ」
ジュエルはそう言ってまだ目を瞑っているままのミアの身体を軽く揺するが反応は無かった。しかし、ゆっくりと胸が上下しているので呼吸はしているようだ。
返り血で固まったままの髪をかき上げながら長い溜め息を吐くと、紅黒いシミが付着した服を適当に脱ぎ捨てる。この小さな小屋でも水道は通っているらしく蛇口から水が出たのを幸いに髪を洗い、身体を拭いてからこの国に来る前に新調したお気に入りのドレスに着替えた。更に義手と義足を軽くメンテナンスをして、一通りの出発準備を終えた。
「まだ寝ているの?」
ジュエルはミアが眠るベッドの端へ座り呼びかけたのだが、森の中に住む小鳥だけが明後日の方向へ応えるのだった。
「おーい、ミアさーん。あなたの大好きなカレーがありますよー」
彼女の長い耳の近くで呼びかけても目を覚まさない。少し心配そうな顔になり、ジュエルはミアの寝顔をじっと見つめていた。
フサフサとした短い毛の生えた長い耳、サラサラの髪、今は目蓋で伏せているけれどそこには大きくて吸い込まれそうになる漆黒の瞳があって、触るとお饅頭の様な弾力の頬。そして、少しだけ尖らせているツヤツヤとした唇がそこにはあった。
「ミア……本当に寝てるの?」
ジュエルは起こさないように右手をゆっくりとミアの髪に沿わせる。胸の鼓動が頭の中で段々と大きく反響していくのがわかった。
「…………ん」
すると、一瞬だけミアが反応したのでジュエルは驚き、急いで近づけ過ぎていた顔を離して何事もなかったかのように取り繕った。
鳥達の声も消え、風で木の葉が擦れる音すらもフェードアウトし、ジュエルには先程よりも速くなっている心臓の音が頭蓋骨の中でこだまし、鼓膜を痛いくらいに揺らしていた。

「助けてくれてありがと……」
そして、一瞬だけ二人の暖かい皮膚は触れ合う。

我に返ったようにジュエルは両頬を少しだけ紅く染めて、大袈裟についさっき思い出したような演技をしながら鞄から小さな本を取り出して角を折ってあったページを開き、新たなページをめくりはじめる。

「ジュエル!」

「なあに?」

 2016-12-31-13-11-17



今月の一言

Writer:Hyuga.731

illustration:zinbei     (HP)

月刊Bedroom techno11月号

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bedroomへの一枚
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ep6…lied april
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bedroomへの一枚

Mall Grab – Elegy

Music by Mall Grab
From the album “Elegy”
https://1080pcollection.bandcamp.com/album/elegy-12

Mall Grab
https://soundcloud.com/mallgrab

前回の月間 Bedroom techno 9-10月号でも紹介した注目高まる1080pレーベルの第三弾のリリース。

オーストラリアはニューキャッスルのJordon AlexanderのMall Grab名義による”Elegy”は、80年代末のシカゴのクラブでかかっているようなディープ・ハウスの4トラック。

2015年に自身のbandcampでリリースした作品集を含めてこれまでに様々なレーベルからいくつものレコードをリリースしてきて1年しか経っていないが、その再販売価格の高騰は彼がハウス界隈の中でも波に乗っているプロデューサーであることを示している。

その中でもこの”Elegy”は一番deepであるといえるだろう。
独特のイコライジングで仕上げたソウルフルなサンプリングをキックに乗せてドリーミングな仕上がりで決まっている。

最近の活動はオーストラリアを中心にDJイベントに積極的に参加している。
去年のイベントになってしまうが、私はこのANDROMEDA FES. で行われたTuff ShermとのBTBのvideoが特に好きだ。

ほかにもBoiler RoomやRinse FMにも参加しており、若干21歳ながら着実に地位を上げてきている。

2016年。いや、2017年も大注目のハウス・プロデューサーといってもいいだろう。

  



 ep6…lied april

「やがて、私が完成させた、もはや一つの芸術作品ともいえる国に対して、非難してきたやつらはヘラヘラと笑いながら、さも当然という顔で入国と居住の申請を申し出てきましたよ!」

カエルの王様が怒りに任せて手を振り下ろしたことによりテーブルが揺れて、ジュエルの元にあったフォークが長毛の絨毯の上に音もなく落ちてしまった。

まったく、この手の輩は静かに食事も出来ないのかしら。
そんな事を考えながらジュエルは足元のフォークを拾おうと手を伸ばした
しかし、その手が触れるよりも早くいつの間にか近づいていたウェイターが落ちてしまったフォークを拾い上げた。
そして、ウェイターは無言のまま手に持っていたペーパーに包まれた新しい銀食器をジュエルに差し出した。
ジュエルはそれを受取ろうとしたが、食事も既に終わり使わないことに気が付き
「ありがとう。でも、もう使わないから下げてくれる?」
お礼を伝え、食器を受け取らなかった。
そこで普通のウェイターの場合、「かしこまりました」と言って下がっていくのだが、このウェイターは何故か挙動不審になりながら震える声で答えた
「い、いえ、お受け取りくださいませ……」
急にウェイターはジュエルの手首を掴み無理やりにペーパーに包まれた新しい銀食器を握らせた。
そしてほんの一瞬、力強く何かを懇願するような眼差しでジュエルの眼をじっと見つめ、何かを伝えたそうに口を震わせたのだったが、やがて諦めたようにきびすを返して下がって行った。

ウェイターの突然の豹変に対して不思議と恐怖は湧かなかったが、恐らく何かを伝えたかったのだろうと察したジュエルは疑問と感嘆の色が混ざった複雑な表情で自分の手のひらに握られた重たく小さな銀食器のペーパーを外して、ようやく疑問の色が感嘆に塗り潰された。
それは、パンケーキを切り分けるには重たく大きすぎる、鋼でできた諸刃の短剣だったのだ。
さらに包まれていたペーパーに何か文字が書かれていることに気づく。それ読み終えるとため息を小さくして、覚悟を決めた表情で後ろを振り返り再びウェイター呼び戻した。
「ちょっと、ウェイターさん。カラシを持ってきてくれない? 特別にカラいのを、ね」

……

201611nov2

「ところで、我が国自慢の料理はお気に召しましたか?」
話も食事もひと段落して、落ち着いた頃。カエルの王様は先程とは打って変わって優しい表情で二人に訊ねた。
「ええ、とても美味しかったです」
「そうですか!満足していただけて良かった」
ミアは食事も終わったので、これから街に出て必要なものを買ってから明日の朝には旅を再開出来るだろうか、と考えていたのだが、それを提案する前に王様からのお国自慢がまた始まり、内心はウンザリとした。
「我が国の野菜は完璧な機械管理により効率的に生産されておりますので素材そのものが美味しいでしょう!
しかし一方で肉の生産数が追いつかなくてね……」
ジュエルはカラシなんかウェイターさんに貰っていたけれど、まだ食べるつもりなのかな?

「だからこうしてたまに迷い込んでくる『食材』を清掃、消毒、油塗りと野菜詰めまで行い、最終的に私が品質をチェックしてから精肉加工に入るのです。王国印のハムやソーセージは品質が高いと国民も大喜びですよ。何の肉を使っているかなんて考えもしないほどにね……!」

それならあたしももう一個だけ、この美味しいかぼちゃプリンを食べようかな。

「それでも、今年は肉の出荷が少なくて私が口にする分まで制限されてしまっていてね。もうずっと野菜ばかりの生活で耐えてきた……」

でもちょっとだけ今日は食べ過ぎちゃったから止めておこうっと。

「これでようやく私もまともな『食事』にありつけるというものだ……!」

「あなた、私たちを最初から食べるつもりだったのね」
「えっ?何を食べるって?」
ジュエルは相手にとって自分達が調理前の生肉としか見ていない事を判断した。
ミアは…寝ぼけているようだった。

「正解ですよ、機械のお嬢さん。でも、残念ながらもう遅い。牛から人間の肉まで、あらゆる肉を食してきたが、野菜がたっぷり詰まった新鮮なウサギの肉と人間の肉はさぞ美味いだろうなぁ」
恍惚の表情を浮かべるカエルの口からは粘度の高い涎汁が溢れ零れ、足元の絨毯に染み込んでゆく。

「あのドロドロにはシんでも触りたくないね」
「……うん」
二人の余りにも嫌悪感を露わにした表情はカエルの王様に対して癇に障ったのだろうか、紅いの体表を更に色深く染めて苛立ちをあらわし始めた。
「まだ自分たちの立場がわかっていないようだな! 先ずはその汚い口を持つ人間の小娘から食べてやる!」
そう言ってカエルは唾液撒き散らし怒りと食欲の矛先をジュエルへ向けてムチのような舌を鉄砲の様に発射した。
ジュエルは隠し持っていた短刀を既に逆手に構えて攻撃を待ち構えていたのだが、その刃先は空を切ることとなる。

ミアは動物的な眼力で、カエルの口からジュエルに向かって長い舌が伸びていくのを目で捉えていた。さらに、考えるよりも先に身体が動いてしまったのか、ジュエルを両手で押し倒す。
標的が変わった弾丸はミアを捉え、一瞬にして宙へ持ち上げる。
首と腹部をしっかりと巻き取られたミアは透明の体液まみれの顔を不快感と苦しさで歪める
「う、うぐ……」
「なにしてんのよ!バカ!」
ジュエルは押し倒されて少しの間こそ驚き困惑していたが、すぐに短剣を持ち直してミアを捉える触手の様な舌に切りかかったが遅かった。
「いただきます!」
ミアは一瞬にして巻き取られ大きなカエルの口の中に収まって行った。
カエルは大きな音のげっぷをするとミアが着ていた下着を吐き出す。
「うん…少しフルコースの順番が狂ったが、やっぱりメスの兎肉は生に限るなぁ!」
布はグチャグチャに濡れて淫靡な輝きを放ってそこに存在を表していた。
「さあ次こそはメガネのお嬢さんだ。今じゃ純粋な人間の肉も珍しい。さっさと食べてやりたいが、やっぱりその金属だらけの身体では少し調理が必要だな」

またもやカエルの口からピンク色の舌が伸びて今度はジュエルに襲いかかり体に巻きついた。
「く、苦しい」
しかし、カエルは突如として巻きつけていた舌を緩めた。
「あぐがぁ!」
驚いてのけ反った拍子に尻餅をつき叫び声を上げてのたうち回っている。それを横目にジュエル言った
「まったく……辛子と唾液まみれじゃない」
ジュエルは先程ウェイターに頼んでいた辛子を身体に塗りつけていたのだ。

「さぁ、今すぐミアを吐き出して荷物を返してくれるなら何もしないであげる。あと慰謝料として食料と水と熱いシャワーも頂戴ね」
ジュエルらつかつかとカエルに近寄って行ったかと思うと、ぐいと
義手の方で舌を挟みあげながら含み笑いを浮かべており、苦しむ姿を喜んでいる様だった。
「なにほ、いうは、ほうなはら、へっはいに、はええあう!」
カエルが闘志というよりも食い意地を燃やした眼で威勢を放った。
「あがっ!」
しかし、その次の瞬間には自身の舌が根元から切り離されており、口から多量の血液や体液を噴き出していた。
「んーと、何を言っているか分からないけれど、いいえ。という答えなのはわかったわ」
ジュエルは持っていた短刀で舌を切断。続けて、でっぷりと大きく丸い身体を首元から股下まで縦に裂いた。
201611nov1
「い”い”い” ⁈」
どろり、と赤黒の輝く臓物たちが我先にと裂け目から飛びだしていく中で、長い耳をぺったりと丸め、膝を抱えて丸くなりながら固く目を瞑っているスッポンポンのミアも濡れたまま内から出てきた。
「消化が遅くて良かった。これが本当の二兎追う者は一兎も獲ずってやつね。あら、あたしはウサギじゃなかったか」
カエルの王様は涙と汗と血で手や顔をを濡らしながら床に散らばった内蔵を裂け目へ必死に押し戻していたが、やがてその動作も遅くなり、最期には白目を向き、うつ伏せに倒れて動かなくなった。




今月の一言

Writer:Hyuga.731

illustration:zinbei     (HP)

月刊 Bedroom techno 4月号

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bedroomへの一枚/幽霊; – グレー [EP]
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ep4…Sept falling
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bedroomへの一枚

幽霊; – グレー [EP]

Music by 幽霊;
From the album “グレー [EP]”
http://goatfolk.bandcamp.com/album/ep

幽霊;
https://soundcloud.com/kanashiyurei

 

2014年頃に突如として増えだした「下手な日本語 を操る正体不明のトラックメイカー」達。

時には日本人による別名義であったり、時には本当に日本語を勉強中の海外在住アーティストであったりする。パッと思いつくだけで©OOL JAPANyung new sweatshirt etc……

 「幽霊;」彼もその一人だ。

 

彼はメキシコはザポパン在住のOmar Alejandro;ことgoatfolk;の別名義。名前の後の「;」が特徴らしい。
突如としてtwitterとsoundcloud上に登場し、爆発的にfollow数を増やしていった。
本名名義ではlive movieがメキシコのReady Set Sessionsというメディアのyoutubeにアップロードされていたり、とても活動的だ。
彼のbandcampを辿る限りでは、この「幽霊;」名義ではlo-fiだがパワフルでエレクトロニックなテクノサウンドの実験をしているようにとれる。
それは、本名名義のリリースでは、宅録独特のホワイトノイズが乗った生々しいレコーディング環境に対して、とても美しいピアノ・アンビエントを奏でているからだ。
ぜひこちらも聴いてみていただきたい

 

彼の別名義を含めたリリースを見ていると、音楽による実験というのが軸にあるのではないかと想像をしてしまう。
それは宅録環境独特のホワイトノイズから連想させるのかもしれないし、ミニマルティックな曲調だからかもしれない。もしくは彼から発せられる独特の正体不明感というか、不透明な雰囲気からなのだろうと私は彼の新曲を聴きながら思う。

 

この「都市の雨 」という曲はアンビエントでありながらもエモーショナルで、メキシカン風なDetroit houseを感じる一曲になっている
ミニマルでありながら決して無機質ではなく有機質なのは一発撮りという制作環境の制限からだろう。
それを聴いていて心地よいと思うか、それともcheepだと感じるかは好みの問題。

 


 


ep5…November Rain

「ようこそ!我が王国へ!」

扉を開けて現れたのは長机、シャンデリア、フカフカの椅子、煌びやかでシックな大部屋。そして大きなカエル。

201603nov2
倒れてきたら押しつぶされてしまうのではないかと思わせる巨体には、高級そうな深紅のマントが纏われ、頭の上には黄金に輝く冠が小さくちょこんと乗っているのだが、それらが二本足で立つカエルの姿には妙に似つかわしくない。

この国の王と紹介されたカエルの王様は、レストランで目の前にやってきた大好物を品定めするかのようにてらてらと巨大な目玉を輝かせて二人の到着を本当に嬉しそうに出迎えてくれた。

「さぁさぁ、長旅でお疲れでしょう。食事をしながら旅のお話しを私に聞かせてください」
そう言って王様はぱちぱちと手を二回叩いた。
すると、どこからともなくコックたちが幾数人ばかり空腹を刺激するかぐわしい香りを纏う料理を運び出てきたではないか。

ミアはとても空腹には耐えられないとばかりに早々と真っ白な長机の前に座り、料理たちが所狭しと机に並べられるのを生唾を飲み込み、落ち着かない様子でイタダキマスの合図を待った。

シャンデリアの明かりを瑞々しく反射し輝いている新鮮な香草と生野菜のサラダ、ブロッコリーと豆を使った暖かいスープ、温野菜の盛り合わせ・・・・・・。どうやら王様はそうとうな菜食主義らしい。一つも肉や魚を使った料理がなかった。

「さぁ、どうぞ温かいうちにお召し上がりくださいませ。うちの一流のコックが作る料理は幾多の旅人さんがお気に召してくださったものばかりです」

「いただきまーす!」

待ってましたとばかりに、空腹の限界だったミアは上品さの欠片もなく並べられた料理を片っ端から手を付け、口に運んで行く。

それを呆れながら眺めるジュエルも、ミアが食べ始めて安全なのを確認したのか、ようやく少しずつ料理に手を付け始めた。

二人の客人はしばらくして緊張も溶けたのか旅の話をしながら落ち着いて食を進めて行った。そんな二人の様子を目を細めニコニコしながら眺めているカエルの王様は料理にはまったく手を付けず、二人を優しそうに見ているだけだった。

201603nov1

…………

「あの国では大変だったよね」

「そうね、誰かさんのせいで有り金が全部なくなっちゃったんだから」

「……ごめん」

二人が旅の話をしながら料理を食べ終え、デザートのかぼちゃのプリンに手を付けていたとき、

「素敵なお話をありがとう。さて、今度は私のお話をしましょうか」

二人の話を微笑みながら聴いていた王様が話を切り出した。

「そうだな……。まずはこの国の話をしましょう」

カエルの王様はここで初めてフォークを手に取って、生野菜の盛り合わせの小振りなミニトマトに突き刺した。

「お分かりのとおり、この国は完全に地中深くに存在していて、水質、風、天気、気温、自然環境におけるすべてをコンピュータ制御して地上にいるときと同じような生態環境ですべての生物は生活できるようになっております」

 

テーブルを挟み向かいに座る大きなカエルは大きな口を開き長い舌でフォークの先にあるトマトを絡み取り、口に含んで転がし始めた。それはまるで飴玉でも舐めているかのように。

 

「地上が干からびた二十年前、周囲の好奇の目や呆れた表情、ひどいときには非国民だという非難に耐えながらも、希望を求めて仲間とともに穴を掘り進めてこの完成された国を作ったのです」
口の中で転がしていたトマトを「ペッ」と綺麗に磨かれた床に吐き出した。
トマトは力強く叩きつけられ潰れて赤い果肉や果汁と共にトロッとした透明に包まれた幾つもの小さな丸い種子が現れる。

 

「やがて、私がもはや一つの芸術作品ともいえる国に対して、非難してきたやつらはヘラヘラと笑いながら、さも当然という顔で入国と居住の申請を申し出てきましたよ!」

 

カエルの王様はフォークを持った手を振り下ろし、テーブルが揺れた事で食器が落ちた。

それと同時に、ミアがおびえた表情に変わり体を強張らせる。

ジュエルは一瞬の空白にピンと張り詰めた糸のような空気を感じていた。

「失礼しました。思わず熱がこもってしまいましたよ。あまりに憎たらしい表情を思い出してしまったものでね」
怒りから我に返った王様は話を続ける。
「しかしながら、私は考えた。この国が発展していくには労働力がいると。だから彼らにこう言ったんです『ここでは奴隷として暮らしてもらう。逃げたきゃ逃げればいい。上は砂漠だがね』とね。親切で頭のいい友人がいて彼らは幸せ者ですよ。なによりもこんな素敵な国はなかなかありません。服も住まいも食べ物も仕事も提供してあげているのですから」
「・・・・・・そうかもしれないですね」
引きつった笑顔のままにミアは返事をした

 


今月の一言

Writer:Hyuga.731

illustration:zinbei(HP)

月刊 Bedroom techno 9-10月号

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vaporwave is chillout/ヴェイパーウェーブはチルアウト
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bedroomへの一枚
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ep4…Sept falling
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 731records is looking for someone can translate this article into English.
because spreading to a lot of people ”bedroom techno".
e-mail command.731@gmail.com


vaporwave is chillout
ヴェイパーウェーブはチルアウト

Dream Catalogue(http://dreamfm.biz)というvaporwave labelがIndiegogo.comというクラウドファンディングサイトを通して「Hong Kong Express」と「t e l e p a t h テレパシー能力者」という二人の、「2814」というユニットの「新しい一日」というEPが二枚組のVinyl LPになるという企画があった。

BANDCAMP
https://dreamcatalogue.bandcamp.com/album/–18

INDIEGOGO(finish)
https://www.indiegogo.com/projects/2814-on-2xlp-12-inch-vinyl–2#/story

その企画は一ヶ月の期間で214人もの出資者を得て、6,432ポンド、つまり約120万円もの支援を得て無事に成功を収めた。

vaporwaveというジャンルそのものを、あまり詳しく知らない人のために、この2814というユニットのメンバーである「Hong Kong Express」と「t e l e p a t h テレパシー能力者」がどういう存在なのか説明するところから始めていこう。


Hong Kong Express
https://soundcloud.com/hkedream

彼はロンドン在住。vaporwaveレーベルの中でも最重要な存在である「DreamCatalogue」のオーナーだ。
soundcloudで過去の作品を聴いてもらうと、かなりpureなvaporwaveを作る。pureじゃないvaporwaveってなんだよ。というツッコミもあるかとおもうが、そこは後々に語っていくので悪しからず。
英語のリスニングができる方はOSCOBがインタビュアーで配信している「OSCAST」というpodcastのなかで彼へのインタビューをした回があるので聴いてみてはどうだろう。


t e l e p a t h テレパシー能力者
https://soundcloud.com/t-e-l-e-p-a-t-h

vaporwaveというジャンルを聴いていく中で、彼ほど以上にvaporwaveを愛し、精力的に作品を作り、リリースを続けている人物はいないだろう。

彼のbandcampを見ると2013年の10月が最古のリリースとなっているので恐らくそのころから、自身のbandcampや他のvaporwave labelからリリースを続けている。


時はさかのぼり2013年10月

vaporwaveというジャンルの音楽があるらしい。どうやらそれは最近、流行っているchillwaveとは如何やら毛色が違うらしい。
と、twitter上で騒がれ、日本にいる私の元にやって来た。
ちょうど私が曲を作り始めて日本のネットレーベルのコンピレーションに参加し始めたり、731recordsを何もわからないまま始めだした頃だったので、流行りには非常に敏感だった。

しかし、それは少しの間ではあったが流行したものの、今では忘れ去られてみんなはジューク、フットワーク。ゴルジェ、ポエムコアなどの新しいジャンルに目を向けている。

vaporwaveなんて結局はambient musicであり、騒がれていたのは「新しいように見えていた」から。

2015年の10月に戻る。

「2814 – 新しい一日」のクラウドファンディング企画のゴール金額が75万円だったのが、120万円もの金額を投資してくれる多くの人々がいるというリアルがある。
vaporwaveを愛し、制作を続ける人々は私が知っているだけでもロンドン、ロシア、日本、アメリカ……数多く世界中にいて、vaporwaveのレコードを求めるほどコアなファンが居るのだ。

これほど素晴らしいことはない。

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そもそも、vaperwaveは2010年頃に生まれたと言われており、
80年台の日本のアニメやドラマ、ギリシャ彫刻が独特のシティ感と退廃を感じさせるアートワーク、google翻訳に通したような支離滅裂な曲のタイトル、さらにプライベートを一切感じさせず、本当にインターネットに住んでいるのかと思わせるアーティストの秘匿性。

これらのことから上がるキーワードとして「インターネット」「lo-fi」というのがあげられるだろう。

さらに、そして今回の話で重要なのが「free download

vaporwaveは私も愛用する無料録音ソフト「audacity」で80年代のシティーPOPSをbpm80にスクリューさせてやれば誰にでも、しかも高いDTMソフトや有償のプラグインを買うこともなく、「無料」で「簡単」に生産することができる。誰でもvaporwave artistだ。

そんなことから、反商業音楽、反資本主義的な精神を象徴とし、「free download」というのが暗黙のルールであるジャンルだったのだ。

しかしながら、Dream Catalogueからリリースされる音源はほとんとが有料だ。
安心させるために言うと16曲入りで4ポンドなので安い。

これはvaporwaveというジャンルからの脱却でもあり、vaporwaveというカルチャーを2814年の未来にまで引き続けていくための線引きなのだと私は考える。

最初は情熱だけで音楽のジャンルは生まれる。しかし、経営をする者が現れなければお金も回らず、生み出すことができなくなる。つまりカルチャーが途絶えるのだ。
hiphopはmusicでmake moneyという文化があるが、そうしないとアンダーグラウンドな音楽のシーンなど終わる運命だったからだ。

さらに、vaporwaveを盛り上げている一つの要素としては
「SPF420」というオンライン・イベントがある。

HTTP://WWW.TINYCHAT.COM/SPF420

Transmuteo Live @ SPF420FEST2.0 from Transmuteo on Vimeo.

これはtinychat.comというビデオチャットのサイトで行われるDJイベントなのだが、stressという女性(?)が主催の一人であり司会もしている。ちなみに420はマリファナの隠語だ。

このオンライン・イベントは日本からもMaltineRecordsからDJが出演したり他のジャンルからDJを呼ぶ等により、vaperwave愛好家だけでなく多くのnerdから支持されている。

ほかにもOneohtrix Point Neverのwarp recordsからのリリースやVHShardの登場なども挙げられるが、それらを紹介するのはまたの機会にしておくとして、最後にinternetのchilloutであるvaporwaveの永遠の愛をもって終わりにする。


bedroomへの一枚

Damon Eliza Palermo – Clouds of David

Music by Damon Eliza Palermo
From the album “Clouds of David”
https://1080pcollection.bandcamp.com/album/clouds-of-david

1080p
http://1080pcollection.net/

カナダはVancouver。Richard MacFarlaneが運営するカセットレーベルが「1080p」の正体だ。

先に言っておくと日本人のリリースもある。

Keita Sano
“Holding New Cards”
http://1080pcollection.net/keitasano.html

このように各国から様々なメロディアスでちょっと優しいエレクトロニカ、ハウスをリリースしているのが1080pなのだ。

レーベル名は映像の解像度を示す1080pという言葉から来ており、今でこそ当たり前となっているが1920×1080の動画サイズの映像形式を指す。

そんな由来を重ねてリリースされた曲を聴いていくと、どこかに可愛らしさ、時には物悲しさ。そして、LO-FIなんだけれどもHIクオリティという、まるで高解像度なディスプレイでVHSで録画した昔の映像を眺めているような矛盾によって現実からのトリップを与えてくれる。

さて、表題にある作品「Damon Eliza Palermo – Clouds of David」はそんな1080pから2015年11月にリリースされる作品なのだが、視聴してもらうとわかるようにnew ageに近いambientな楽曲だ。

この作品は9曲入りだが、視聴は現段階で一曲のみ。素直に素晴らしい自信だと思う。決して批判しているわけではない。この「River Drum」を聴いただけでambientの名曲だと理解できるだろう。それで充分だろ?と問いかけているような気がして、私は思わずニヤリと口角が上がってしまうのだ。

Damon Eliza Palermoというのは本名で、ヤマハのSU700というドデカイサンプラーミキサーを使い、実際のギターやピアノは使わずに曲を作っている、とのこと。

現段階ではプレオーダーなので、あまり楽曲の感想、評価はするべきではないのかもしれないが、私はたった一曲で素晴らしいと感じたので書かせてもらうことにする。

彼の故郷はミシガン州にあり日本でいう北海道と同じ緯度に位置する。冬はマイナス9度にもなる土地だ。雪も降りスキーを楽しむ人々もいる。私自身、北海道出身なので何となく想像がつく。
冷たい川の水が流れるようなnoisyなサウンドがバックで流れ、透明な氷柱から垂れる滴のようなメロディ。滴が地面に落ち、はじけるようなタムタムが左右に反射する。
そんなミシガン州の冬を感じさせる一曲だ。

冬の冷たい鍾乳洞。洞窟でジッと春を待つゆったりと大きな存在を想像させる。

非常に11月が楽しみだ。




ep4…Sept falling

目の前にいた国民が、役人である蜥蜴男に撃たれ、息を絶った。

頭の中で鳴り響く銃声に思考がかき乱される。

突然の出来事に言葉も出ないミアとジュエルは呆然と立ち尽くしていた。

血だまりの中に倒れている死体を、薄汚れた布ゴミを扱うかのように遺体を足蹴にすると、蜥蜴男は説明を始めた。

「驚かせて申し訳ありません。この旧地下街に勝手に住まう貧困難民が多くなってきているようなのです。こいつもその一人でしょう。全力で駆除を進めているのですが中々奴らも骨がある上にどんどん増えて行く一方で困っております」
蜥蜴は腕にはめた高級そうに輝く時計を見て続けた

「さて、そろそろ時間なので先を急ぎましょうか」

しばらく無言のまま歩くこと数分。

「大変お待たせしました。この先に我が国の王がお待ちでございます」
ミアとジュエル、そしてトカゲ男の三人は王様が居るという黒々しい重厚な鉄製の扉の前にようやくたどり着いたのだった。

731n4-2

蜥蜴男が扉の隣にある薄い生体認識装置に手をかざすと、扉がゆっくりと開き始め、レディファーストと言わんばかりに二人が先に入るよう誘導された。

シューー

「うぁ!ナニコレ!?」

扉をくぐると、意外と中はまた狭い空間だな、と思ったのもつかの間。突然に煙状になったスチームが吹きかけられて目の前が白く覆われてしまった。
ミアは驚いた拍子に煙が気管に入ってしまったらしく咳き込み、ジュエルはお気に入りだったドレスが濡れてあからさまに不機嫌な顔だ。
「安心してください。減菌煙を吹きかけただけです」
後から入ってきたトカゲ男が説明を重ねる

さらに、その場でミアとジュエルは所持していた武器を外すことと、国から用意された衣装に着替えるように指示され、更衣室に案内された。

しかし、更衣室とは名ばかり。二人一緒に狭い個室で着替えているとミアがたまらずジュエルにたずねた。

「ねえ、なんだかこの国、怪しくない?」
「そうかしら?ここまで外部からの侵入者を防ぐのは当然だと思うわ」
ジュエルは既に乾いたお気に入りのドレスを脱ぎ、変な匂いが着いていないか確認してしかめ面になる。
サイアク。アルコールの匂いが染み付いてるじゃないの。

「さっきの乞食を殺したのが怪しい国だって想像するよりも、この国の敷地内にだけ雨が降っているのが気になるわ」
「そうかな?」

731n4-1

ジュエルは身体の半分、左脚と左腕が機械でできている。いわゆるオートメイルという奴だ。
ミアがこうしてまじまじとジュエルの身体を観察するのは初めてだったのだが、いつも「美」に対してこだわっているのは知っていた。
ジュエルの裸は、植物の茎の様に細く直ぐに折れてしまいそうに見えるのだが、金にマット加工され鈍く輝く自作のオートメイルが黄金の薔薇を想像させる美しさだ。

「バカなの?」
思わず見惚れていたミアはジュエルの言葉で目が覚める。

「地上の砂漠のど真ん中からこの国に入ったけれど、国の中に入ったら豊潤な森が私たちが待たされた部屋の窓からみえていたわ」
「オマケにお菓子とお茶も無料!」
「私は食べなかったけれどね」
「ジュエルは全く手をつけなかったね、タダよりありがたいものはないよ?少しポケットに突っ込んで来たからあげようか?」
「結構よ。私は自分で仕留めた獲物以外は口に入れないことにしているの」
着替えの時に全身に塗る様に、と渡された甘い匂いのするクリームを「腕が錆びたりしないかしら?」と文句を言いながら身体に塗りながらジュエルは続けた。

「兎にも角にも、上が砂漠なのに地下がこんなにも豊潤な資源を持つ国。そして、あの撃たれた難民と呼ばれた男……。表のツラがいい人間ほど割ってみると真っ黒。って事が多かったわ。この国もそうなんじゃないかしら?」
「それでもお腹は空いたし、食料を買ってから荷物も返してもらわないと砂漠に戻ることなんて出来ないよ」

文句を言いながらも着替えを済ませた二人は着替え部屋を出て、さらに奥にある部屋の前に着いた。

そこにはすでにトカゲ男が待っており、二人がきちんと着替えを済ませていることを確認すると、先と同じような生体認識装置で扉のロックを解除した。

扉が開く間、ミアは全身に塗ったクリームの甘い匂いと空腹に耐えられずに、クリームまみれの腕を舐めてみる。

人工甘味料の味が強かったが、確かに甘く、脳がしびれるおいしさだった。




今月の一言

Writer:Hyuga.731

illustration:zinbei(HP)

月刊「Bedroom Techno」8月号

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bedroom technoというstyle
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bedroomへの一枚
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ep3…August Peridot
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because spreading to a lot of people ”bedroom techno".
e-mail command.731@gmail.com


bedroom technoというstyle

・Genreとstyle

以前、bedroom technoというものへのchillout,dub,ambient等の関連性を軽く紹介した。 to 月刊「B e d r o o m T e c h n o」6月号

しばらくして気づいたのだが、音楽という大きな物体を種類別に分けるときには、まず「ジャンル」からなる分類分けが有り、さらに「スタイル」というものが存在する。
この二つはかなり混同してしまうのだが、具体例を出すと

Cylob – Cut The Midrange, Drop The Bass

これは、2001年にRephlexからリリースされたCylobの「Cut The Midrange, Drop The Bass」の中に収録されている一曲なのだが、discogsの記載されている情報(*1)によると、ジャンルはエレクトロニカ。スタイルはIDM, Electro, Shynth-popとなっている。さらに細かい追記するならば「BrainDance」「BreakBeats」などだろう。

もちろんほかの収録曲によっても分別が決まってくるのだが、この「エレクトロニカ」というジャンルはかなり厄介で、幅広く、語るのもDIGるのも大変だ。そういった事情もあり「スタイル」というジャンルよりもさらに細かいジャンル分けが表記されるようになったのだろう。

これはもちろん「TECHNO」というジャンルにも当てはめることができる。

単純にアンビエントのようなノンビートにテクノの四つ打ちのキックを足せばアンビエントテクノというスタイルが表記されるだろう。

ディストーションなどでキックの音を荒くしてBPMを上げたりしたらgabbaというスタイルになる

あげていったらキリがないので気になる方はこういったサイトを見てみてはいかがだろうか。

http://everynoise.com/engenremap.html

これは世の中にあるほぼすべての音楽の種類を近しい者同士で配置されており、クリックすると、どういった雰囲気の曲なのか視聴もすることができる。さらに検索欄にアーティスト名を入れるとそのアーティストの作品のジャンルも表示してくれるという優れもの。

そんな話をふまえて、「BEDROOM」というスタイルは一体どういうものなのか。それについて追及してみよう。

・BEDROOM TECHNOの二面性

勘が鋭い方やそうでない方も気が付いているように、私が「bedroom techno」と呼んでいるstyleは厳密には「techno」ではない。

どういうものか近しいものを挙げるならば「CHILLOUT」という言葉が一番近いだろうか。

チルアウトは、電子音楽の作曲者により生み出された、比較的陽気でスローテンポなさまざまな形式の音楽を表す包括的な言葉である。発祥は1990年代前中期で、くつろぐことを促す俗語から来ている。

1990年のKLFのアンビエントアルバム”Chill Out”で一般的になったとされる。

詳しくいうならば、chilloutな音楽からブレイクビーツのビートを強調させたdowntempoという音楽のtechno、またはhouseバージョンといってもいいだろう。

ただ、90sに生まれたchilloutの雰囲気はdowntempoよりも後の2012年頃に生まれたポストロックに似た新ジャンル「chillwave」にも継承され「ゆったり」「オープン」といったキーワードからマイナスなイメージは無いことがわかる

しかしながら
Bedroom Technoはビートこそtechno, houseであり、Downtempoはhip hop、breakbeatがルーツであり、違いがあるもののDowntempoと同じようにdubやambientで使われるような生楽器のサンプルに空間系のエフェクトをかけたり、古いドラムマシーンやベースマシンを使っているので非常に似ている

しかしながら、雰囲気が全く違って聞こえるのはなぜだろうか。

それはやはり、bedroomという理想の空間から抜け出したくない逃避癖があったり、人と交わるのが苦手で厭世的な人がつくる音楽だからかもしれない。



bedroomへの一枚

Inoue Shirabe – now romantic

Music by Inoue Shirabe
From the album “now romantic”
https://birdfriend.bandcamp.com/album…

Inoue Shirabe
https://soundcloud.com/shiraba0354

birdFriend
http://birdfriendtapes.tumblr.com/

goatとbonanzasというバンドのリーダーでありYPYというソロ名義でも活動し常に実験的かつ先進的なサウンドを発表してきた日野浩志郎氏がレーベルオーナーであるカセットレーベル「birdFriend」からのNEW RELEASE。

goatといえばstdという曲を2年前くらいにyoutubeで見たことがあったのですが、その頃はまだミニマルミュージックにハマる前で「何だこりゃ、でも、すげー」という感想を持ったという記憶があります。

そんなこともあって今回のbedroomに持っていきたい一枚「inoue shirabe – now romantic」というalbumの作者である井上調氏は私がとあるイベントに顔を出したときにDJ negamiという方からおススメのchillでlo-fiなテクノサウンドは無いかと尋ねたときに教えてもらった岡山在住のアーティストです。

まさか2年前のことと繋がると思っていなかったので少し感動してます。

birdFriendといえば日野浩志郎氏自身の活動もそうですが、湿った犬Daniel Shampooなどminimalなスタイルを持つアーティストを積極的にリリースしているという印象を持っていたので、少し意外なところからリリースされたな、と情報を聞いたときは感じました

さて、中を覗いてみると、過去作ではサイケデリックなディープハウスみたいな作品も発表していたりしたので、今回の作品はそのサイケ要素が少し抜け、横田進かのようなサウンドに仕上がっているのにもかなり驚いたりしました。
これまでのinoue shirabeサウンドをそのままに、曇ったkickがダウンテンポで体を揺らし、センスのある切り取りをされたサンプルが鳴り響く。かなり理想とするbedroom technoにlo-fiで素晴らしいです

残念なのは私がカセットプレイヤーを持っていないということ。ぜひともこれはカセットで聞いて、digitalとの違いを味わってほしいと思います。
寝室でゆったりコーヒーを片手に耳を傾けるのも良し、ポータブルカセットプレイヤーでどこか遠くに持っていくのも良し。

どこか違う、別世界へ連れて行ってくれる。そんな一枚です




ep3…August Peridot

服もボロボロで頬も痩け、いかにも貧困層の身なりをした男はどこからか走りよるなり
「¥&@¥”¥!! $€€>^#%%+$#!! 」
通路にいた三人に、いや、恐らく二人の招かれざる客に伝えたかったのだろう。
この世の終わりを知ったかのような顔面蒼白の顔で三人に向かって、叫び、よくわからない言語で忠告をしてきた。

この状況に驚いて目を白黒させているのは、大きな耳が特徴的な獣人族、ミア=ロゼッティ=テニスンという女性。見た目から想像する年齢は十代後半から二十代前半に見える。彼女は大きく長いふわふわな耳を持ち、獣人という属性のためにあらゆる五感が人間よりも優れているために突然の異変に敏感で、かなり怖がりな部分があるようだった。

もう一人、ミアとは対象的に冷静な顔を保っている彼女の名はジュエル アンクラウト。年齢はミアよりも少しだけ年上のように見えるが二十代後半くらいだろうか。事故により体内器官を損傷し、五感が弱いが手先が器用で、お手製の三角形の猫耳型の集音機を装着しており、視力の方も牛乳瓶の底の様にぶ厚い眼鏡で生活に支障がない程度まで五感を補っている。左手と左足もお手製で真鍮製の義肢をつけてある。属性は一応人間となってはいるが半身が機械でできているので「ほぼ」機械人間だと言っていいだろう。

そんな二人の知らない「何か」からの恐怖を伝えようと必死な表情だった奇妙な男は次に、この場で唯一の案内人である蜥蜴男の顔を怒りに満ちた表情で睨みつけた。一方の蜥蜴男は軽蔑したような表情で目を細め、男の様子を観察している。

突如、対峙していた奇妙な男は足元にあったタイルの破片を素早く拾い上げ、それを蜥蜴に投げつけた。
欠片は大きく弧を描き、蜥蜴男の黒いスーツに弱弱しく当たり、
そのまま重力に引っ張られ、
冷たい床に打ち付けられ、
欠片は粉々に砕けた。
「アッ!」
それと同時に二度だけ、何かが破裂して空気を切り裂く音が鳴り響いた。

全てが静寂に戻り、気がつくと、対峙していた男が天井を仰いでいた。
茶色く汚れていた衣服はゆっくりと紅黒く濡れはじめ、白いタイルの床にも少しずつ赤い水溜まりを作っていた。

奇妙だった男は静かになり、ゆっくりとこちらに顔を向けると何かを言いたそうに口を動かしている。しかし、もはや喉を震わせるための息が出てこないらしい。そのまま血の気が無くなり力尽きたように冷たい床に額を擦り付けて息を絶った。

未だ白い硝煙に包まれている蜥蜴のおとこは、動きが完全に止まったのを目視すると、ようやく手に構えていたオートマチック・ピストルをスーツの内にあるホルダーに納めながら、こう言った。

「平和を守るには規則を貫き通すのが一番です」

ep3...August Peridot




今月の一言

Writer:Hyuuga_D

illustration:zinbei     (HP)

月刊「Bedroom Techno」7月号

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ep2…jury kiss
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bedroomへの一枚

インディーズのレーベル、bandcamp、soundcloud、YouTubeなどからアンダーグラウンドでベッドルームに持っていくのに最適な一枚を紹介するという新コーナーです。

さて、最近はAWA、apple musicやら色々な定額制音楽配信というのが流行っていますがみなさんは使っているのでしょうか?結構評判いいみたいで気にはなっているのですが、主にsoundcloudやyoutube,ニコニコ動画などでdigっている私としては、そういったところにアップロードされているapple musicに配信すらしていないアンダーグラウンドな曲を聴かなくなってしまいそうという心配があるのでまだ使ってません。

なので、いまだに寝る前にiPhoneで色々なアプリを駆使して睡眠導入剤の代わりとなる一曲を探すのですが、梅雨が明けてから急に気温が高くなり夜も寝苦しくなってきたせいか、もっぱらdrone, ambientやelectronica寄りであまりビートもキツくなく軽めに乗っている。まさに熱帯夜で空気が絡みつくのも忘れさせてくれるような、クールダウンできる曲ばかり選曲して眠りにつくことが多くなりました。

 ということで
今月は暑い夏にピッタリ!クールなエレクトロの一枚をご紹介

Gacha – Let Me Love You

Gachaの「Send Two Sunsets」から「 Let Me Love You」です。
Pichforkの点数も7.1と好評価*1でしたし、英語が読める方はそちらのほうがいいレヴューしてあるので是非読んでみてください

R&Srecordsの傘下で主にambientの曲をリリースしているApollo recordsからのリリースになります。

このアルバムはapollo recordsという老舗のレーベルからのリリースに相応しい、古き良きを感じることができる一枚となってはいるものの、どこか初々しさというか情熱も感じることができて、聴いていると「あー、うみいきてー」ってなりません?

アルバムタイトルにもなっている「Gacha ft. Natalie Beridze – Send Two Sunsets」は、まさに海辺をはだしで散歩しながら、恋人とゆっくり沈んでいく夕焼けを見ている情景が目に浮かびます。そういう経験ないけどサ……。

かと、思ったら「Pulsing」ではHudson Mohawkeばりのベースミュージックが流れてきて、ibizaからいきなりLos Angelesにとんぼ返りしたみたいな驚きの一面も垣間見れる

とても充実した一枚ですし、彼のsoundcloudアカウントに一部の曲をフルで置いていますので是非聞いてみてはいかがでしょうか?

R&Srecords store, apple music, iTunes, amazon.JP,



ミア

ep2…jury kiss

天井の高さこそ低いものの、長く広い通路を三人は歩いていた。白熱灯が照らされた白い床の薄汚れたタイル。そして不規則に並んだ白い柱に3人の足音が反響する。

「なんだか、ぶきみだね」

そう言いながら、お気に入りのふわふわで耳当てがついている帽子を深くかぶり直す仕草をしたのはミア。ミア=ロゼッティ=テニスン(Mia =rossetti=Tennyson)と言う獣人族だ。

率直な感想に同意を求める。というよりも他人から見たら不気味に思うんだろうけど、ジュエルはどうだろうという疑問の方が強いような雰囲気に気づいたからだろうか、それを察知した二人目の足音の主であるジュエル、ジュエル・アンクラウト(Jewel Unkraut)は

「…………。」

ミアの方を一瞥しただけで特に何も言うことは無かった。

さて、二人は何故こんな通路を歩いているのかというと、旅の道中に食料も水も底を尽きて砂漠の真ん中で行き倒れていた所に偶然にも通りかかった商人がこの辺りには地下帝国の入り口があると言う話を聞いた所から物語は始まっていた。

「この通路は昔使われていた古い街の地下道でして、今では老朽化も進み別の通路を作りまして人口増加に伴い地下街の拡張を進めております」

三人目の足音であり、この国の案内人であるトカゲの男がジュエルの代わりに答えた。

服装や立ち振る舞いもしっかりしているので、この地下帝国の偉いところの役職だろうと想像がつく。その彼は歩みを進めながら話を続けた。

「入国審査では幾つかのステップに沿って身体検査と心理検査を行います。あなた様方は特別な客人故に王様が直接に謁見したいとのことなので謁見の間までのご案内させていただきますが、厳重な審査を経てからとなります事をご理解下さい」

「それじゃあ食事は……」

ミアの言葉は遮られた。

さらに三人は急遽、通路に立ち止まり目の前の現状に各々に困惑する。

「逃げろ!あんたたちも奴隷になるぞ!」
なぜならば、通路の脇から足をもつらせ、興奮した男が飛び出し、そう叫んで来たのだ。


今月の一言

Writer:Hyuuga_D

illustration:zinbei     (HP)

月刊「Bedroom Techno」6月号

  // 次回

 


「Bedroom techno」とは?

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「bedroom techno」の魅力とは?

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「June bright」 ep1

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「Bedroom Techno」とは?

ベッドルームテクノ。その言葉を作ってしまったのは今やあらゆるジャンルの音楽家において敬愛される「Aphex Twin」こと「Richard David James」の一枚のアルバムからだった。

[Selected Ambient Works 85-92]

1992年の当時ベルギーを拠点にデトロイトテクノやシカゴハウスの風を受けて人気が上がっていたR&S Records。そのサブレーベルであり

主にambientを中心にreleaseしていた「Apollo Records」からこのアルバムがリリースされることで更にR&S Records自体を盛り上げる結果となったと同時にRichard自身の名前も広まることとなる一枚だ。
さらに、同じ年にR&Sからリリースされた『Xylem Tube EP』も彼の名前と彼の楽曲を各国のフロアで耳にするようになる後押しになった。

そして同年。warp recordsから80’sのアンチ・レイブ・ムーブメントから誕生した、チルアウトが原点となり現在までのテクノ、エレクトロニカ、IDMを理解するうえで絶対に避けて通ることの出来ない記念碑的なコンピレーション・アルバム「Artificial Intelligence」がリリースされた。

このコンピレーションにはAphex Twinはもちろん、The Black Dog、Richie Hawtin、Autechreなど今や現代のインテリジェンス・ミュージックと呼ばれるジャンルを引っ張ってきているアーティストが多く参加している。
R&Sと同様にwarp recordsの名声を非常に高めると同時に新しいジャンルである「IDM」が生まれ、warpは徐々にその地位を築いていったのだ。

 これらの1992年にリリースされたアルバムから全世界にベットルーム・テクノという概念を伝えたといっても過言ではないだろう。そしてエイフェックス・ツインはアンビエント・テクノからフロア・ライクなテクノまでを作ることができるニュー・ジェネレーションのヒーローとなっていった。ベッドルームで作られた音が、世界中のフロアでプレイされ、そしてベッドルームでも聴かれるようになっていったのだ。

・・・・・・

 ここまではベッドルームテクノが世に広まる発端を担った「Richard D James」の「Selected Ambient Works 85-92」という一枚の偉大さについて書いてきたがそろそろ「bedroom techno」そのものの特徴を挙げてみよう。 色々と細かい判断基準はあるようなのだが、まずは最初に挙げたaphex twin以外のアーティストではどんな作品がbedroomとして含まれるのか見てみよう

これらの曲に共通する点で技術的なところから見ていくと、どうやら一般的なtechnoやhouseのBPMである140bpmよりも遅めで90~120bpm程度であり、最近流行の兆しがみえるdeep houseというジャンルに近いとも言えるだろう。
そして全体にReverbやDelay,Echoなどの空間系エフェクターを多用している。楽曲の展開が少ないのは、やはりambient techno,dub technoといった4つ打ち系チルアウト・ミュージックに近づけているからだろうか。loneやgold pandaなどのアーティストも含まれることを見るとchillwaveやelectronica的な要素も必要なのだろうか?
しかし、いずれかの作品も創作の原動力となっているのはハード・トランス、ハード・テクノ、または渋谷系POPSなどの一般に浸透してきた「EDM」と呼ばれるレイブシーンに対するアンチテーゼ的なものを非常に感じる。

さらに、重ねて特徴的なのが全体を包む箱庭感だろう。lone自身のinterviewでもあったが彼の作品からは一貫して何らかの逃避を求め、ようやく安息の地にたどり着いた。という雰囲気があるといえる。*1

その理想の箱庭、つまりは幻想世界の空間をbedroomに比喩しているのかもしれない。


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