月刊Bedroom techno12月号

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ep7…December steps
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ep7…December steps

ここはどこだろう。
ミアは辺りを見渡してみるが、真っ暗で何の情報もなく、外なのか内なのか、昼なのか夜なのか、死んでいるのか生きているのかすら分からなかった。しかし、閉ざされた五感の中で一つだけ、実際には何も見えないのだが一度だけ来たことがあるような感覚と懐かしさと優しさの様なものに包まれていることを感じていた。

『なにしてるのよ!バカ!』
ここで不意に直前の記憶が蘇る。
襲いかかってくる長い舌からジュエルを助けようとして飛び出したために捕まってしまったのだ。
そうしてようやく自分が、大きなカエルの大きな胃の中に飲み込まれてしまったことに気がついた。
「ジュエルはきっと無事だよね……」

改めて自分の咄嗟の行動を反省してミアは冷静になったのか、自分の身体に怪我が無いか確認する為に手を動かそうと試みたのだが、そこで気づいた。まるで手足を動かすという概念を失ってしまったかのようなのだ。重力に逆らって関節を動かす感覚、細かな体毛に風が触れる感覚すらなくなっていて、勿論その先の手触りも失っていた事にショックを受ける。
そういえば、辺りを見渡す時も目を開けて首を動かすといった感覚が無かった、ということにも気づき始め、そこでようやく自分が死んでいるのでは無いかという疑惑がジワリとにじり寄って来たのだが、不思議とそれに対する恐怖は襲いかかってこない。まるで恐怖という大きな怪物が敵意という牙を抜かれてしまい、腹を見せてこちらに服従している姿で居るようだ。更にはその怪物のフワフワの腹毛に頬を這わせたような愛念すら感じた。
いつのまにかミアはこの永遠の微睡みの様な心地良い感覚を永久に浸っていたいとさえ、ぼんやりとした意識と温度の中で望み、それを願っていた。

「……うわ! なに⁉︎ 」
しかし、その願いも長くは続かず突如として雷の様なバリバリという大きな音が耳から入り、身体の中で反響し全身を揺らして微睡みの意識から目が覚めた。その瞬間に照明のスイッチを入れたかの様にパッと明るくなり、闇に潜んでいた怪物は獲物を仕留めきれなかったというように恨めしやと退散し、ホワイトアウトした世界へと変貌したのだ。
ミアは一体何が起こったのか分からずに混乱していたのだが、だんだんと近づいてくる声に気がつき、それに意識を向けた。

「……ァ」
「……ィァ」
「……ミア」
「……ミア!」
それを聞いたミアは必死に自分の名前を呼ぶ声に返事をしようとしているのだが、声を出しているつもりでも膜に包まれているかの様に全く空気が揺れてくれない。それでもミアは、必死で、強く、なんとかして気づいてもらおうと声にならない声を出し続けた。
「……。」
「……ゥ」
「……ゥェル」
「……ジュエル!」

———–
「ジュエル!」
悲鳴にも似た自分の声でミアが目を覚ましたのは安そうな音を立てて軋むベットの上でだった。
「なあに?」
そう応えた本人は近くの椅子に座り、読んでいた書物から目を離しミアの様子を仰ぎ見た。大粒の涙を両の目に浮かべていて、まるで悪い夢をみてしまった子供のようだ。と、思わずくすりと笑ってしまった。
ミアは久しぶりに暗い部屋から出てきた時のように窓からの採光で目を細めるも、涙か粘液の所為なのかよく見えないようだ。しかしながらジュエルの声がハッキリと自身の長い耳に入ってきたのが嬉しくてミアは再び感極まり涙が溢れた。
ジュエルは読んでいた書物を閉じ、ベッドへ近寄って端に座り、安堵の表情で溢れ零れん涙を親指の腹を使って優しく拭ってあげる。
「よかった!生きてたんだね!」
「それはこっちの台詞よ……。ちょっと!抱きつかないで!この服はお気に入りなんだから!」
涙とヨダレに塗れたミアはついに声を上げて泣き出し、そんなミアに抱きつかれてしまったジュエルまでも泣き出しそうな、しかし少し頬が緩んでいる複雑な表情でされるがままになってしまうのだった。

その後、ミアがようやく落ち着いたのを見計らってジュエルはあの食事会での出来事を話し始めた。

ジュエルがカエルの王様の腹を開いた後、遠巻きに見ていた従事者たちから沸き起こる歓声、自由を手にした感激の嗚咽に包まれて、ジュエルは直ぐにこの国の英雄になってしまったらしい、と察した。案の定に人々はパレードをしようだとか銅像の制作を始めようだとか、今までの暗い過去を振り去るように明るい笑顔で口々に言い合ったり手を取り踊ったりしていた。
しかし、それよりも粘液塗れのミアが出てきたが動かない状態だった事と自分もすっかり疲れてしまっていたので、とにかく静かな所で休みたかった。
それを察したのかジュエルに短剣を渡してきたウェイターが近寄り、細い身体とは裏腹に軽々とミアを担ぎ上げたかと思うとついて来るように目配せをした。
しばらく細い道を真っ直ぐに行ったり曲がったりする洞窟のような通路を抜けて、月明かりの光に照らされて草木が雨粒で踊る音がそこらから聴こえる森の中に突然出てきたのだった。
「この場合、地下帝国だから外に出たとは言わないのかな?」
ウェイターは何も言わずにしっかりとした足取りで歩みを進め、辿り着いた一軒の小さな小屋の戸を開けた。そして、カーテンもつけていない窓の側にある硬そうなベットの上にゆっくりとミアを寝かせた後にジュエルの方を向き深く頭を下げ、何も言わずに出ていってしまった。しかし、その時の表情は申し訳なさそうに眉を伏せているのだが両の眼はしっかりと明るい未来への希望に充ちていた様に見えた。
その場に残されてしまったジュエルはしばらくの間傍らで月のお姫様のように照らされるミアの安らかな寝顔を見ていたが、それに誘われるようにして自分も段々と瞼を閉じていった。

ジュエルがいつの間にか眠ってしまっていたと思った時には窓から太陽の光が顔を覗かせていて、ベットの近くには預けられていたはずの荷物がひっそりと置かれていた。先程のウェイターが戻って来て置いていってくれたのだろうか。

2016-12-31-13-11-12

「ミア?そろそろ起きてよ」
ジュエルはそう言ってまだ目を瞑っているままのミアの身体を軽く揺するが反応は無かった。しかし、ゆっくりと胸が上下しているので呼吸はしているようだ。
返り血で固まったままの髪をかき上げながら長い溜め息を吐くと、紅黒いシミが付着した服を適当に脱ぎ捨てる。この小さな小屋でも水道は通っているらしく蛇口から水が出たのを幸いに髪を洗い、身体を拭いてからこの国に来る前に新調したお気に入りのドレスに着替えた。更に義手と義足を軽くメンテナンスをして、一通りの出発準備を終えた。
「まだ寝ているの?」
ジュエルはミアが眠るベッドの端へ座り呼びかけたのだが、森の中に住む小鳥だけが明後日の方向へ応えるのだった。
「おーい、ミアさーん。あなたの大好きなカレーがありますよー」
彼女の長い耳の近くで呼びかけても目を覚まさない。少し心配そうな顔になり、ジュエルはミアの寝顔をじっと見つめていた。
フサフサとした短い毛の生えた長い耳、サラサラの髪、今は目蓋で伏せているけれどそこには大きくて吸い込まれそうになる漆黒の瞳があって、触るとお饅頭の様な弾力の頬。そして、少しだけ尖らせているツヤツヤとした唇がそこにはあった。
「ミア……本当に寝てるの?」
ジュエルは起こさないように右手をゆっくりとミアの髪に沿わせる。胸の鼓動が頭の中で段々と大きく反響していくのがわかった。
「…………ん」
すると、一瞬だけミアが反応したのでジュエルは驚き、急いで近づけ過ぎていた顔を離して何事もなかったかのように取り繕った。
鳥達の声も消え、風で木の葉が擦れる音すらもフェードアウトし、ジュエルには先程よりも速くなっている心臓の音が頭蓋骨の中でこだまし、鼓膜を痛いくらいに揺らしていた。

「助けてくれてありがと……」
そして、一瞬だけ二人の暖かい皮膚は触れ合う。

我に返ったようにジュエルは両頬を少しだけ紅く染めて、大袈裟についさっき思い出したような演技をしながら鞄から小さな本を取り出して角を折ってあったページを開き、新たなページをめくりはじめる。

「ジュエル!」

「なあに?」

 2016-12-31-13-11-17



今月の一言

Writer:Hyuga.731

illustration:zinbei     (HP)

あおばとレーベル/ m3.サ-34x

あおばとレーベル主催のコンピレーションアルバム

テーマは自由&ゆるく

m3 2016春 あおばとレーベルブース
第二展示場2F サ-34x にて販売。300円

参加者

 

AXVXA(canavis)

音楽家、あおばとレーベル代表 今回のコンピレーションアルバム「BGM」の発起人 M3の2016春にあおばとレーベルとして出展しております 今回の「BGM」フルバージョンも扱っていますので 是非是非遊びに来てください~♪ 場所はサ-34xです!

■twitter: @canavis_

■サウンドクラウド: soundcloud.com/axvxa

■あおばとレーベルHP: aobato-label.moon.bindcloud.jp

 

sound2:  camming soon…

 

yutaco

1987年北海道生まれ。 吹奏楽から始まった音楽遍歴はバンドサウンドを経て、TB-303の音を入口に電子音楽に傾倒。 diskrakenという名義も使い分けつつ、主にDJ・社畜として活動中。

■ twitter: @yutaco808 @diskraken

sound2:  camming soon…

 

MULTIENDING

個々の様々なchilloutの解釈を発表するレーベルとして731recordsを運営。
本作品ではmultiending名義での作風である、チルウェーブ、シンセウェーブ系の作品、「Forever Here」
hyuga daichi名義での作風であるbedroom technoと呼ぶ初期warp recordsの「A.Iシリーズ」を根底に置いた作品「Rainbow highway」を収録
sound2:  camming soon…

2015/731records release

2015年も年の瀬となり、2016年になろうとしている。
2013年に設立した731recordsだが14年まではすべて私の別名義でのリリース。
実はこの2015年からようやく自分以外のリリースを開始した年でもある。

個人的にもいろいろあった年だったが何とかかんとか生きて音楽を聴けていることに感謝したい。

正直のところ今でもレーベル運営なんてどうやっていいかわからない部分もあるが、続けることを第一として、第二にDYSTOPIAの中のUTOPIAを発掘し、インターネットを駆使してベッドルームからchiloutな音楽を発信していきたい所存です。

 

それではまずは2015年の2月まで振り返ってみよう。



Continue reading “2015/731records release”

FLAT402「Toramaru」

【Check!!!】

12/19(sat)
731records主催のonline music fes
<<FLAT402>>が開催!
詳細1
詳細2

Toramaru


(japan time 20:00~20:30)

nT5ggThR

初めましてやそうじゃない人もこんにちはToramaruです。

普段はバンドなどで鍵盤やギターを弾いていますが並行してアンビエントやチルアウト、テクノ、エレクトロニカなどのジャンルの音楽をToramaruとして発信しています。

Toramaruとしてライブをすることはあまり無いのですが、今回のイベントにお誘いを頂いたので参加をさせていただくことにしました。

よろしくお願いします。


 


soundcloud https://soundcloud.com/toracloud

twitter https://twitter.com/TORAtters



Continue reading “FLAT402「Toramaru」”

月刊 Bedroom techno 9-10月号

前回 // 次回

 

vaporwave is chillout/ヴェイパーウェーブはチルアウト
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bedroomへの一枚
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ep4…Sept falling
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 731records is looking for someone can translate this article into English.
because spreading to a lot of people ”bedroom techno".
e-mail command.731@gmail.com


vaporwave is chillout
ヴェイパーウェーブはチルアウト

Dream Catalogue(http://dreamfm.biz)というvaporwave labelがIndiegogo.comというクラウドファンディングサイトを通して「Hong Kong Express」と「t e l e p a t h テレパシー能力者」という二人の、「2814」というユニットの「新しい一日」というEPが二枚組のVinyl LPになるという企画があった。

BANDCAMP
https://dreamcatalogue.bandcamp.com/album/–18

INDIEGOGO(finish)
https://www.indiegogo.com/projects/2814-on-2xlp-12-inch-vinyl–2#/story

その企画は一ヶ月の期間で214人もの出資者を得て、6,432ポンド、つまり約120万円もの支援を得て無事に成功を収めた。

vaporwaveというジャンルそのものを、あまり詳しく知らない人のために、この2814というユニットのメンバーである「Hong Kong Express」と「t e l e p a t h テレパシー能力者」がどういう存在なのか説明するところから始めていこう。


Hong Kong Express
https://soundcloud.com/hkedream

彼はロンドン在住。vaporwaveレーベルの中でも最重要な存在である「DreamCatalogue」のオーナーだ。
soundcloudで過去の作品を聴いてもらうと、かなりpureなvaporwaveを作る。pureじゃないvaporwaveってなんだよ。というツッコミもあるかとおもうが、そこは後々に語っていくので悪しからず。
英語のリスニングができる方はOSCOBがインタビュアーで配信している「OSCAST」というpodcastのなかで彼へのインタビューをした回があるので聴いてみてはどうだろう。


t e l e p a t h テレパシー能力者
https://soundcloud.com/t-e-l-e-p-a-t-h

vaporwaveというジャンルを聴いていく中で、彼ほど以上にvaporwaveを愛し、精力的に作品を作り、リリースを続けている人物はいないだろう。

彼のbandcampを見ると2013年の10月が最古のリリースとなっているので恐らくそのころから、自身のbandcampや他のvaporwave labelからリリースを続けている。


時はさかのぼり2013年10月

vaporwaveというジャンルの音楽があるらしい。どうやらそれは最近、流行っているchillwaveとは如何やら毛色が違うらしい。
と、twitter上で騒がれ、日本にいる私の元にやって来た。
ちょうど私が曲を作り始めて日本のネットレーベルのコンピレーションに参加し始めたり、731recordsを何もわからないまま始めだした頃だったので、流行りには非常に敏感だった。

しかし、それは少しの間ではあったが流行したものの、今では忘れ去られてみんなはジューク、フットワーク。ゴルジェ、ポエムコアなどの新しいジャンルに目を向けている。

vaporwaveなんて結局はambient musicであり、騒がれていたのは「新しいように見えていた」から。

2015年の10月に戻る。

「2814 – 新しい一日」のクラウドファンディング企画のゴール金額が75万円だったのが、120万円もの金額を投資してくれる多くの人々がいるというリアルがある。
vaporwaveを愛し、制作を続ける人々は私が知っているだけでもロンドン、ロシア、日本、アメリカ……数多く世界中にいて、vaporwaveのレコードを求めるほどコアなファンが居るのだ。

これほど素晴らしいことはない。

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そもそも、vaperwaveは2010年頃に生まれたと言われており、
80年台の日本のアニメやドラマ、ギリシャ彫刻が独特のシティ感と退廃を感じさせるアートワーク、google翻訳に通したような支離滅裂な曲のタイトル、さらにプライベートを一切感じさせず、本当にインターネットに住んでいるのかと思わせるアーティストの秘匿性。

これらのことから上がるキーワードとして「インターネット」「lo-fi」というのがあげられるだろう。

さらに、そして今回の話で重要なのが「free download

vaporwaveは私も愛用する無料録音ソフト「audacity」で80年代のシティーPOPSをbpm80にスクリューさせてやれば誰にでも、しかも高いDTMソフトや有償のプラグインを買うこともなく、「無料」で「簡単」に生産することができる。誰でもvaporwave artistだ。

そんなことから、反商業音楽、反資本主義的な精神を象徴とし、「free download」というのが暗黙のルールであるジャンルだったのだ。

しかしながら、Dream Catalogueからリリースされる音源はほとんとが有料だ。
安心させるために言うと16曲入りで4ポンドなので安い。

これはvaporwaveというジャンルからの脱却でもあり、vaporwaveというカルチャーを2814年の未来にまで引き続けていくための線引きなのだと私は考える。

最初は情熱だけで音楽のジャンルは生まれる。しかし、経営をする者が現れなければお金も回らず、生み出すことができなくなる。つまりカルチャーが途絶えるのだ。
hiphopはmusicでmake moneyという文化があるが、そうしないとアンダーグラウンドな音楽のシーンなど終わる運命だったからだ。

さらに、vaporwaveを盛り上げている一つの要素としては
「SPF420」というオンライン・イベントがある。

HTTP://WWW.TINYCHAT.COM/SPF420

Transmuteo Live @ SPF420FEST2.0 from Transmuteo on Vimeo.

これはtinychat.comというビデオチャットのサイトで行われるDJイベントなのだが、stressという女性(?)が主催の一人であり司会もしている。ちなみに420はマリファナの隠語だ。

このオンライン・イベントは日本からもMaltineRecordsからDJが出演したり他のジャンルからDJを呼ぶ等により、vaperwave愛好家だけでなく多くのnerdから支持されている。

ほかにもOneohtrix Point Neverのwarp recordsからのリリースやVHShardの登場なども挙げられるが、それらを紹介するのはまたの機会にしておくとして、最後にinternetのchilloutであるvaporwaveの永遠の愛をもって終わりにする。


bedroomへの一枚

Damon Eliza Palermo – Clouds of David

Music by Damon Eliza Palermo
From the album “Clouds of David”
https://1080pcollection.bandcamp.com/album/clouds-of-david

1080p
http://1080pcollection.net/

カナダはVancouver。Richard MacFarlaneが運営するカセットレーベルが「1080p」の正体だ。

先に言っておくと日本人のリリースもある。

Keita Sano
“Holding New Cards”
http://1080pcollection.net/keitasano.html

このように各国から様々なメロディアスでちょっと優しいエレクトロニカ、ハウスをリリースしているのが1080pなのだ。

レーベル名は映像の解像度を示す1080pという言葉から来ており、今でこそ当たり前となっているが1920×1080の動画サイズの映像形式を指す。

そんな由来を重ねてリリースされた曲を聴いていくと、どこかに可愛らしさ、時には物悲しさ。そして、LO-FIなんだけれどもHIクオリティという、まるで高解像度なディスプレイでVHSで録画した昔の映像を眺めているような矛盾によって現実からのトリップを与えてくれる。

さて、表題にある作品「Damon Eliza Palermo – Clouds of David」はそんな1080pから2015年11月にリリースされる作品なのだが、視聴してもらうとわかるようにnew ageに近いambientな楽曲だ。

この作品は9曲入りだが、視聴は現段階で一曲のみ。素直に素晴らしい自信だと思う。決して批判しているわけではない。この「River Drum」を聴いただけでambientの名曲だと理解できるだろう。それで充分だろ?と問いかけているような気がして、私は思わずニヤリと口角が上がってしまうのだ。

Damon Eliza Palermoというのは本名で、ヤマハのSU700というドデカイサンプラーミキサーを使い、実際のギターやピアノは使わずに曲を作っている、とのこと。

現段階ではプレオーダーなので、あまり楽曲の感想、評価はするべきではないのかもしれないが、私はたった一曲で素晴らしいと感じたので書かせてもらうことにする。

彼の故郷はミシガン州にあり日本でいう北海道と同じ緯度に位置する。冬はマイナス9度にもなる土地だ。雪も降りスキーを楽しむ人々もいる。私自身、北海道出身なので何となく想像がつく。
冷たい川の水が流れるようなnoisyなサウンドがバックで流れ、透明な氷柱から垂れる滴のようなメロディ。滴が地面に落ち、はじけるようなタムタムが左右に反射する。
そんなミシガン州の冬を感じさせる一曲だ。

冬の冷たい鍾乳洞。洞窟でジッと春を待つゆったりと大きな存在を想像させる。

非常に11月が楽しみだ。




ep4…Sept falling

目の前にいた国民が、役人である蜥蜴男に撃たれ、息を絶った。

頭の中で鳴り響く銃声に思考がかき乱される。

突然の出来事に言葉も出ないミアとジュエルは呆然と立ち尽くしていた。

血だまりの中に倒れている死体を、薄汚れた布ゴミを扱うかのように遺体を足蹴にすると、蜥蜴男は説明を始めた。

「驚かせて申し訳ありません。この旧地下街に勝手に住まう貧困難民が多くなってきているようなのです。こいつもその一人でしょう。全力で駆除を進めているのですが中々奴らも骨がある上にどんどん増えて行く一方で困っております」
蜥蜴は腕にはめた高級そうに輝く時計を見て続けた

「さて、そろそろ時間なので先を急ぎましょうか」

しばらく無言のまま歩くこと数分。

「大変お待たせしました。この先に我が国の王がお待ちでございます」
ミアとジュエル、そしてトカゲ男の三人は王様が居るという黒々しい重厚な鉄製の扉の前にようやくたどり着いたのだった。

731n4-2

蜥蜴男が扉の隣にある薄い生体認識装置に手をかざすと、扉がゆっくりと開き始め、レディファーストと言わんばかりに二人が先に入るよう誘導された。

シューー

「うぁ!ナニコレ!?」

扉をくぐると、意外と中はまた狭い空間だな、と思ったのもつかの間。突然に煙状になったスチームが吹きかけられて目の前が白く覆われてしまった。
ミアは驚いた拍子に煙が気管に入ってしまったらしく咳き込み、ジュエルはお気に入りだったドレスが濡れてあからさまに不機嫌な顔だ。
「安心してください。減菌煙を吹きかけただけです」
後から入ってきたトカゲ男が説明を重ねる

さらに、その場でミアとジュエルは所持していた武器を外すことと、国から用意された衣装に着替えるように指示され、更衣室に案内された。

しかし、更衣室とは名ばかり。二人一緒に狭い個室で着替えているとミアがたまらずジュエルにたずねた。

「ねえ、なんだかこの国、怪しくない?」
「そうかしら?ここまで外部からの侵入者を防ぐのは当然だと思うわ」
ジュエルは既に乾いたお気に入りのドレスを脱ぎ、変な匂いが着いていないか確認してしかめ面になる。
サイアク。アルコールの匂いが染み付いてるじゃないの。

「さっきの乞食を殺したのが怪しい国だって想像するよりも、この国の敷地内にだけ雨が降っているのが気になるわ」
「そうかな?」

731n4-1

ジュエルは身体の半分、左脚と左腕が機械でできている。いわゆるオートメイルという奴だ。
ミアがこうしてまじまじとジュエルの身体を観察するのは初めてだったのだが、いつも「美」に対してこだわっているのは知っていた。
ジュエルの裸は、植物の茎の様に細く直ぐに折れてしまいそうに見えるのだが、金にマット加工され鈍く輝く自作のオートメイルが黄金の薔薇を想像させる美しさだ。

「バカなの?」
思わず見惚れていたミアはジュエルの言葉で目が覚める。

「地上の砂漠のど真ん中からこの国に入ったけれど、国の中に入ったら豊潤な森が私たちが待たされた部屋の窓からみえていたわ」
「オマケにお菓子とお茶も無料!」
「私は食べなかったけれどね」
「ジュエルは全く手をつけなかったね、タダよりありがたいものはないよ?少しポケットに突っ込んで来たからあげようか?」
「結構よ。私は自分で仕留めた獲物以外は口に入れないことにしているの」
着替えの時に全身に塗る様に、と渡された甘い匂いのするクリームを「腕が錆びたりしないかしら?」と文句を言いながら身体に塗りながらジュエルは続けた。

「兎にも角にも、上が砂漠なのに地下がこんなにも豊潤な資源を持つ国。そして、あの撃たれた難民と呼ばれた男……。表のツラがいい人間ほど割ってみると真っ黒。って事が多かったわ。この国もそうなんじゃないかしら?」
「それでもお腹は空いたし、食料を買ってから荷物も返してもらわないと砂漠に戻ることなんて出来ないよ」

文句を言いながらも着替えを済ませた二人は着替え部屋を出て、さらに奥にある部屋の前に着いた。

そこにはすでにトカゲ男が待っており、二人がきちんと着替えを済ませていることを確認すると、先と同じような生体認識装置で扉のロックを解除した。

扉が開く間、ミアは全身に塗ったクリームの甘い匂いと空腹に耐えられずに、クリームまみれの腕を舐めてみる。

人工甘味料の味が強かったが、確かに甘く、脳がしびれるおいしさだった。




今月の一言

Writer:Hyuga.731

illustration:zinbei(HP)

月刊「Bedroom Techno」8月号

前回 // 次回

 

bedroom technoというstyle
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bedroomへの一枚
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ep3…August Peridot
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 731records is looking for someone can translate this article into English.
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bedroom technoというstyle

・Genreとstyle

以前、bedroom technoというものへのchillout,dub,ambient等の関連性を軽く紹介した。 to 月刊「B e d r o o m T e c h n o」6月号

しばらくして気づいたのだが、音楽という大きな物体を種類別に分けるときには、まず「ジャンル」からなる分類分けが有り、さらに「スタイル」というものが存在する。
この二つはかなり混同してしまうのだが、具体例を出すと

Cylob – Cut The Midrange, Drop The Bass

これは、2001年にRephlexからリリースされたCylobの「Cut The Midrange, Drop The Bass」の中に収録されている一曲なのだが、discogsの記載されている情報(*1)によると、ジャンルはエレクトロニカ。スタイルはIDM, Electro, Shynth-popとなっている。さらに細かい追記するならば「BrainDance」「BreakBeats」などだろう。

もちろんほかの収録曲によっても分別が決まってくるのだが、この「エレクトロニカ」というジャンルはかなり厄介で、幅広く、語るのもDIGるのも大変だ。そういった事情もあり「スタイル」というジャンルよりもさらに細かいジャンル分けが表記されるようになったのだろう。

これはもちろん「TECHNO」というジャンルにも当てはめることができる。

単純にアンビエントのようなノンビートにテクノの四つ打ちのキックを足せばアンビエントテクノというスタイルが表記されるだろう。

ディストーションなどでキックの音を荒くしてBPMを上げたりしたらgabbaというスタイルになる

あげていったらキリがないので気になる方はこういったサイトを見てみてはいかがだろうか。

http://everynoise.com/engenremap.html

これは世の中にあるほぼすべての音楽の種類を近しい者同士で配置されており、クリックすると、どういった雰囲気の曲なのか視聴もすることができる。さらに検索欄にアーティスト名を入れるとそのアーティストの作品のジャンルも表示してくれるという優れもの。

そんな話をふまえて、「BEDROOM」というスタイルは一体どういうものなのか。それについて追及してみよう。

・BEDROOM TECHNOの二面性

勘が鋭い方やそうでない方も気が付いているように、私が「bedroom techno」と呼んでいるstyleは厳密には「techno」ではない。

どういうものか近しいものを挙げるならば「CHILLOUT」という言葉が一番近いだろうか。

チルアウトは、電子音楽の作曲者により生み出された、比較的陽気でスローテンポなさまざまな形式の音楽を表す包括的な言葉である。発祥は1990年代前中期で、くつろぐことを促す俗語から来ている。

1990年のKLFのアンビエントアルバム”Chill Out”で一般的になったとされる。

詳しくいうならば、chilloutな音楽からブレイクビーツのビートを強調させたdowntempoという音楽のtechno、またはhouseバージョンといってもいいだろう。

ただ、90sに生まれたchilloutの雰囲気はdowntempoよりも後の2012年頃に生まれたポストロックに似た新ジャンル「chillwave」にも継承され「ゆったり」「オープン」といったキーワードからマイナスなイメージは無いことがわかる

しかしながら
Bedroom Technoはビートこそtechno, houseであり、Downtempoはhip hop、breakbeatがルーツであり、違いがあるもののDowntempoと同じようにdubやambientで使われるような生楽器のサンプルに空間系のエフェクトをかけたり、古いドラムマシーンやベースマシンを使っているので非常に似ている

しかしながら、雰囲気が全く違って聞こえるのはなぜだろうか。

それはやはり、bedroomという理想の空間から抜け出したくない逃避癖があったり、人と交わるのが苦手で厭世的な人がつくる音楽だからかもしれない。



bedroomへの一枚

Inoue Shirabe – now romantic

Music by Inoue Shirabe
From the album “now romantic”
https://birdfriend.bandcamp.com/album…

Inoue Shirabe
https://soundcloud.com/shiraba0354

birdFriend
http://birdfriendtapes.tumblr.com/

goatとbonanzasというバンドのリーダーでありYPYというソロ名義でも活動し常に実験的かつ先進的なサウンドを発表してきた日野浩志郎氏がレーベルオーナーであるカセットレーベル「birdFriend」からのNEW RELEASE。

goatといえばstdという曲を2年前くらいにyoutubeで見たことがあったのですが、その頃はまだミニマルミュージックにハマる前で「何だこりゃ、でも、すげー」という感想を持ったという記憶があります。

そんなこともあって今回のbedroomに持っていきたい一枚「inoue shirabe – now romantic」というalbumの作者である井上調氏は私がとあるイベントに顔を出したときにDJ negamiという方からおススメのchillでlo-fiなテクノサウンドは無いかと尋ねたときに教えてもらった岡山在住のアーティストです。

まさか2年前のことと繋がると思っていなかったので少し感動してます。

birdFriendといえば日野浩志郎氏自身の活動もそうですが、湿った犬Daniel Shampooなどminimalなスタイルを持つアーティストを積極的にリリースしているという印象を持っていたので、少し意外なところからリリースされたな、と情報を聞いたときは感じました

さて、中を覗いてみると、過去作ではサイケデリックなディープハウスみたいな作品も発表していたりしたので、今回の作品はそのサイケ要素が少し抜け、横田進かのようなサウンドに仕上がっているのにもかなり驚いたりしました。
これまでのinoue shirabeサウンドをそのままに、曇ったkickがダウンテンポで体を揺らし、センスのある切り取りをされたサンプルが鳴り響く。かなり理想とするbedroom technoにlo-fiで素晴らしいです

残念なのは私がカセットプレイヤーを持っていないということ。ぜひともこれはカセットで聞いて、digitalとの違いを味わってほしいと思います。
寝室でゆったりコーヒーを片手に耳を傾けるのも良し、ポータブルカセットプレイヤーでどこか遠くに持っていくのも良し。

どこか違う、別世界へ連れて行ってくれる。そんな一枚です




ep3…August Peridot

服もボロボロで頬も痩け、いかにも貧困層の身なりをした男はどこからか走りよるなり
「¥&@¥”¥!! $€€>^#%%+$#!! 」
通路にいた三人に、いや、恐らく二人の招かれざる客に伝えたかったのだろう。
この世の終わりを知ったかのような顔面蒼白の顔で三人に向かって、叫び、よくわからない言語で忠告をしてきた。

この状況に驚いて目を白黒させているのは、大きな耳が特徴的な獣人族、ミア=ロゼッティ=テニスンという女性。見た目から想像する年齢は十代後半から二十代前半に見える。彼女は大きく長いふわふわな耳を持ち、獣人という属性のためにあらゆる五感が人間よりも優れているために突然の異変に敏感で、かなり怖がりな部分があるようだった。

もう一人、ミアとは対象的に冷静な顔を保っている彼女の名はジュエル アンクラウト。年齢はミアよりも少しだけ年上のように見えるが二十代後半くらいだろうか。事故により体内器官を損傷し、五感が弱いが手先が器用で、お手製の三角形の猫耳型の集音機を装着しており、視力の方も牛乳瓶の底の様にぶ厚い眼鏡で生活に支障がない程度まで五感を補っている。左手と左足もお手製で真鍮製の義肢をつけてある。属性は一応人間となってはいるが半身が機械でできているので「ほぼ」機械人間だと言っていいだろう。

そんな二人の知らない「何か」からの恐怖を伝えようと必死な表情だった奇妙な男は次に、この場で唯一の案内人である蜥蜴男の顔を怒りに満ちた表情で睨みつけた。一方の蜥蜴男は軽蔑したような表情で目を細め、男の様子を観察している。

突如、対峙していた奇妙な男は足元にあったタイルの破片を素早く拾い上げ、それを蜥蜴に投げつけた。
欠片は大きく弧を描き、蜥蜴男の黒いスーツに弱弱しく当たり、
そのまま重力に引っ張られ、
冷たい床に打ち付けられ、
欠片は粉々に砕けた。
「アッ!」
それと同時に二度だけ、何かが破裂して空気を切り裂く音が鳴り響いた。

全てが静寂に戻り、気がつくと、対峙していた男が天井を仰いでいた。
茶色く汚れていた衣服はゆっくりと紅黒く濡れはじめ、白いタイルの床にも少しずつ赤い水溜まりを作っていた。

奇妙だった男は静かになり、ゆっくりとこちらに顔を向けると何かを言いたそうに口を動かしている。しかし、もはや喉を震わせるための息が出てこないらしい。そのまま血の気が無くなり力尽きたように冷たい床に額を擦り付けて息を絶った。

未だ白い硝煙に包まれている蜥蜴のおとこは、動きが完全に止まったのを目視すると、ようやく手に構えていたオートマチック・ピストルをスーツの内にあるホルダーに納めながら、こう言った。

「平和を守るには規則を貫き通すのが一番です」

ep3...August Peridot




今月の一言

Writer:Hyuuga_D

illustration:zinbei     (HP)

月刊「Bedroom Techno」7月号

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ep2…jury kiss
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because spreading to a lot of people ”bedroom techno".
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bedroomへの一枚

インディーズのレーベル、bandcamp、soundcloud、YouTubeなどからアンダーグラウンドでベッドルームに持っていくのに最適な一枚を紹介するという新コーナーです。

さて、最近はAWA、apple musicやら色々な定額制音楽配信というのが流行っていますがみなさんは使っているのでしょうか?結構評判いいみたいで気にはなっているのですが、主にsoundcloudやyoutube,ニコニコ動画などでdigっている私としては、そういったところにアップロードされているapple musicに配信すらしていないアンダーグラウンドな曲を聴かなくなってしまいそうという心配があるのでまだ使ってません。

なので、いまだに寝る前にiPhoneで色々なアプリを駆使して睡眠導入剤の代わりとなる一曲を探すのですが、梅雨が明けてから急に気温が高くなり夜も寝苦しくなってきたせいか、もっぱらdrone, ambientやelectronica寄りであまりビートもキツくなく軽めに乗っている。まさに熱帯夜で空気が絡みつくのも忘れさせてくれるような、クールダウンできる曲ばかり選曲して眠りにつくことが多くなりました。

 ということで
今月は暑い夏にピッタリ!クールなエレクトロの一枚をご紹介

Gacha – Let Me Love You

Gachaの「Send Two Sunsets」から「 Let Me Love You」です。
Pichforkの点数も7.1と好評価*1でしたし、英語が読める方はそちらのほうがいいレヴューしてあるので是非読んでみてください

R&Srecordsの傘下で主にambientの曲をリリースしているApollo recordsからのリリースになります。

このアルバムはapollo recordsという老舗のレーベルからのリリースに相応しい、古き良きを感じることができる一枚となってはいるものの、どこか初々しさというか情熱も感じることができて、聴いていると「あー、うみいきてー」ってなりません?

アルバムタイトルにもなっている「Gacha ft. Natalie Beridze – Send Two Sunsets」は、まさに海辺をはだしで散歩しながら、恋人とゆっくり沈んでいく夕焼けを見ている情景が目に浮かびます。そういう経験ないけどサ……。

かと、思ったら「Pulsing」ではHudson Mohawkeばりのベースミュージックが流れてきて、ibizaからいきなりLos Angelesにとんぼ返りしたみたいな驚きの一面も垣間見れる

とても充実した一枚ですし、彼のsoundcloudアカウントに一部の曲をフルで置いていますので是非聞いてみてはいかがでしょうか?

R&Srecords store, apple music, iTunes, amazon.JP,



ミア

ep2…jury kiss

天井の高さこそ低いものの、長く広い通路を三人は歩いていた。白熱灯が照らされた白い床の薄汚れたタイル。そして不規則に並んだ白い柱に3人の足音が反響する。

「なんだか、ぶきみだね」

そう言いながら、お気に入りのふわふわで耳当てがついている帽子を深くかぶり直す仕草をしたのはミア。ミア=ロゼッティ=テニスン(Mia =rossetti=Tennyson)と言う獣人族だ。

率直な感想に同意を求める。というよりも他人から見たら不気味に思うんだろうけど、ジュエルはどうだろうという疑問の方が強いような雰囲気に気づいたからだろうか、それを察知した二人目の足音の主であるジュエル、ジュエル・アンクラウト(Jewel Unkraut)は

「…………。」

ミアの方を一瞥しただけで特に何も言うことは無かった。

さて、二人は何故こんな通路を歩いているのかというと、旅の道中に食料も水も底を尽きて砂漠の真ん中で行き倒れていた所に偶然にも通りかかった商人がこの辺りには地下帝国の入り口があると言う話を聞いた所から物語は始まっていた。

「この通路は昔使われていた古い街の地下道でして、今では老朽化も進み別の通路を作りまして人口増加に伴い地下街の拡張を進めております」

三人目の足音であり、この国の案内人であるトカゲの男がジュエルの代わりに答えた。

服装や立ち振る舞いもしっかりしているので、この地下帝国の偉いところの役職だろうと想像がつく。その彼は歩みを進めながら話を続けた。

「入国審査では幾つかのステップに沿って身体検査と心理検査を行います。あなた様方は特別な客人故に王様が直接に謁見したいとのことなので謁見の間までのご案内させていただきますが、厳重な審査を経てからとなります事をご理解下さい」

「それじゃあ食事は……」

ミアの言葉は遮られた。

さらに三人は急遽、通路に立ち止まり目の前の現状に各々に困惑する。

「逃げろ!あんたたちも奴隷になるぞ!」
なぜならば、通路の脇から足をもつらせ、興奮した男が飛び出し、そう叫んで来たのだ。


今月の一言

Writer:Hyuuga_D

illustration:zinbei     (HP)

月刊「Bedroom Techno」6月号

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「Bedroom techno」とは?

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「bedroom techno」の魅力とは?

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「June bright」 ep1

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「Bedroom Techno」とは?

ベッドルームテクノ。その言葉を作ってしまったのは今やあらゆるジャンルの音楽家において敬愛される「Aphex Twin」こと「Richard David James」の一枚のアルバムからだった。

[Selected Ambient Works 85-92]

1992年の当時ベルギーを拠点にデトロイトテクノやシカゴハウスの風を受けて人気が上がっていたR&S Records。そのサブレーベルであり

主にambientを中心にreleaseしていた「Apollo Records」からこのアルバムがリリースされることで更にR&S Records自体を盛り上げる結果となったと同時にRichard自身の名前も広まることとなる一枚だ。
さらに、同じ年にR&Sからリリースされた『Xylem Tube EP』も彼の名前と彼の楽曲を各国のフロアで耳にするようになる後押しになった。

そして同年。warp recordsから80’sのアンチ・レイブ・ムーブメントから誕生した、チルアウトが原点となり現在までのテクノ、エレクトロニカ、IDMを理解するうえで絶対に避けて通ることの出来ない記念碑的なコンピレーション・アルバム「Artificial Intelligence」がリリースされた。

このコンピレーションにはAphex Twinはもちろん、The Black Dog、Richie Hawtin、Autechreなど今や現代のインテリジェンス・ミュージックと呼ばれるジャンルを引っ張ってきているアーティストが多く参加している。
R&Sと同様にwarp recordsの名声を非常に高めると同時に新しいジャンルである「IDM」が生まれ、warpは徐々にその地位を築いていったのだ。

 これらの1992年にリリースされたアルバムから全世界にベットルーム・テクノという概念を伝えたといっても過言ではないだろう。そしてエイフェックス・ツインはアンビエント・テクノからフロア・ライクなテクノまでを作ることができるニュー・ジェネレーションのヒーローとなっていった。ベッドルームで作られた音が、世界中のフロアでプレイされ、そしてベッドルームでも聴かれるようになっていったのだ。

・・・・・・

 ここまではベッドルームテクノが世に広まる発端を担った「Richard D James」の「Selected Ambient Works 85-92」という一枚の偉大さについて書いてきたがそろそろ「bedroom techno」そのものの特徴を挙げてみよう。 色々と細かい判断基準はあるようなのだが、まずは最初に挙げたaphex twin以外のアーティストではどんな作品がbedroomとして含まれるのか見てみよう

これらの曲に共通する点で技術的なところから見ていくと、どうやら一般的なtechnoやhouseのBPMである140bpmよりも遅めで90~120bpm程度であり、最近流行の兆しがみえるdeep houseというジャンルに近いとも言えるだろう。
そして全体にReverbやDelay,Echoなどの空間系エフェクターを多用している。楽曲の展開が少ないのは、やはりambient techno,dub technoといった4つ打ち系チルアウト・ミュージックに近づけているからだろうか。loneやgold pandaなどのアーティストも含まれることを見るとchillwaveやelectronica的な要素も必要なのだろうか?
しかし、いずれかの作品も創作の原動力となっているのはハード・トランス、ハード・テクノ、または渋谷系POPSなどの一般に浸透してきた「EDM」と呼ばれるレイブシーンに対するアンチテーゼ的なものを非常に感じる。

さらに、重ねて特徴的なのが全体を包む箱庭感だろう。lone自身のinterviewでもあったが彼の作品からは一貫して何らかの逃避を求め、ようやく安息の地にたどり着いた。という雰囲気があるといえる。*1

その理想の箱庭、つまりは幻想世界の空間をbedroomに比喩しているのかもしれない。


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REVIEW, hyuga daichi – Top Secret ep (+Bonus track)

bonus track: rem (free dl)

top secret (remix by omoide label)


credits
released 13 June 2015

OMOIDE 079 Top Secret EP
6 Track EP
Produced by Hyuga Daichi
Cover Design by RiVAQ

Released by OMOIDE LABEL
//https://www.facebook.com/omoidel
Release/Catalogue Number : OMOIDE 079



review…

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